JULY
 2012
Diary

7月31日「最近観たDVDその2」
 ロンドンオリンピックも始まり、毎晩眠れない日々を送っていますが、おかげで益々映画館に足を運ばなくなってしまいました。…というわけで、最近観たDVD作品の感想です。こうして改めてそれぞれの作品を観てみて、行かなくて正解だったと思ってしまうのも困ったことです。

「戦火の馬 WAR HORSE」
 スピルバーグ監督作品でアカデミー賞にもノミネートされたし、予告編の映像に否が応でも期待が膨らみましたが、どうもしっくり来ません。動物が主人公の映画ならいくらでも感動させることが出来るはずなのに、全く泣けませんでした。主人公の馬は戦馬として徴用され、戦地に赴くのですが、行く先々に馬好きの兵士や民間人がいて、結局彼らの温情と犠牲のおかげで危機を乗り越えて行くのです。ここには宗教に基づく動物観があり、主人公の馬に対して、決して対等な立場ではなく、あくまでも家畜として保護するという欧米人の奢りが見えます。たとえば主人公の馬を人間と対等に扱うなら、行く先々で出会った兵士や家族を健気に助けて行くなかで自らの窮地を救うという流れになるはずです。その方がよほど泣けるでしょうに、欧米人にはそういう発想が無いように見受けられ、非常に残念に思います。
 それに、途中で思わせぶりに登場する地主の息子の女友達が、その後の話に全く絡んでこないのは解せません。いったい何のために登場したのでしょうか?なんだか最近のスピルバーグは演出が投げやり気味で困ったものです。馬の演技は良かったんだけど、それもCGだったりしないでしょうね?
 ☆☆★★(馬版「ビルマの竪琴」「ボージェスト」とかを期待していた私が馬鹿でした!)
 
「センター・オブ・ジ・アース2」
 前回はジュール・ベルヌの「地底探検」を元にしたお話でしたが、今回は「神秘島」を元にしています。安易に「2」をつけたのかと思ったら、主人公の少年が前回と同じですから、全くの続編なのですね、これが。しかも、前回登場したお父さんが死亡して、ドウェイン・ジョンソンが新しいお父さんだなんて凄い設定で始まるんですから、最初っから話がぶっ飛んでいます。ジュール・ベルヌのSF小説は全部ホントの話だという前提で、お話はまっしぐらに突き進んでいきます。というわけで、まさに荒唐無稽を絵に描いたような話が全編を貫きますが、それに付き合えるかどうかが評価の分かれ目と言えます。どうせホラを吹くなら、こういう潔さが私は好きですね。
 ☆☆☆★★★(ここまで来たら「3」も付き合うぞ)
 
「アンダー・ワールド覚醒」
 ケイト・ベッキンセール主演のヴァンパイア(吸血鬼)族とライカン(狼男)族の戦いを描いたシリーズの第4弾。何故ヴァンパイア族とライカン族の仲が悪いのかは定かではありませんが、伝統的に昔からそういうものなのでしょう。ともかく、一作目から登場している混血種と今回は人間族が大きく絡んできて、より世界観を膨らませようという試みなのでしょうが、相変わらずそれぞれの種族に意味不明な行動が多くて、結局空回りで終わった感が強く残りました。
 それにしても、ガラス容器の中に裸で冷凍冬眠しているシーンなど「バイオハザード」と同様のシーンが多く見受けられ、主演もミラ・ジョヴォヴィッチと区別がつかなくなってしまいました。
 ☆☆★★
 
「TIME/タイム」
 人類が不老不死を手に入れた近未来の世界。そこでは25歳のまま永久に歳をとらない代わりに、遺伝子操作で体内に埋め込まれた時計によって、完全なる人口統制が行われていた。人々は労働の対価を金銭でなく時間で受け取り、残り時間が無くなった者には即座に死が待っているのだ。
 なるほど、アイデアは面白いと思います。しかし、まさに「時は金なり」の世界にあって、人間が時間をどう取り扱うかが問われるのですが、あまりに死が間近にあるためか、意外と人々は時間感覚に疎く、時間が残り少なくなってもそれほどの逼迫感は感じられません。それ故、せっかくのアイデアを充分に生かし切っていないように思えてなりません。
 最初に登場する、自ら時間を放棄して自殺を図る「ホワイト・カラー」の男の気持ちが良くわからないのですが、その謎を解いていく内に巨大な陰謀が明らかになるのかと思いきや、そうもならず、
単純にボニーとクライドと化していく主人公たちに思い入れも出来ず、なんだか消化不良に終わってしまうもどかしさだけが残ります。なんだかな〜。
 ☆☆☆★★
 
「ブレイキング・ドーン:part1」
 少女ベラとヴァンパイアのエドワードの禁断の愛を描いた「トワイライト・サーガ」最終章のパート1です。人間とヴァンパイアの混血児は「不滅の子」と言われる禁断の子なのだそうですが、禁断好きのベラのことですから、そんなことお構いなしに作ってしまうのでした。相変わらず自己中でそのことに無自覚のベラですが、そんな彼女の軽率な行動によって、ヴァンパイヤ族と狼男族の間に大きな諍いが生まれます。でも周りのヴァンパイアはどこまでも協力的で、狼男の ジェイコブはベラにあくまでも献身的なので、ベラは何もしなくとも大丈夫。問題は周りが勝手に解決するのでした。う〜ん…!
 ☆★★(どんなに納得できない話でも、1億冊売れた事実には納得せざるを得ないですね。う〜ん…)
 
「長ぐつをはいたネコ」
 「シュレック」の人気キャラ長ぐつをはいたネコを主人公にしたスピンオフ・アニメです。主人公プスをアントニオ・バンデラス、相棒のキティをサルマ・ハエックという「デスペラート」コンビが声を当てています。長ぐつをはいたネコの孤児院時代の旧友がハンプティ・ダンプティというのもかなりシュールな設定ですが、「ジャックと豆の木」の魔法の豆を使って雲の上にある巨人の城へ金の卵を産むガチョウを盗りに行くという画もかなりシュールです。長ぐつをはいたネコが怪傑ゾロとダブってしまうのはご愛敬というところでしょう。主人公に思い入れ出来るかは別として、ともかくシュールな作品で、子供が観たらきっと夢にうなされるでしょうね。
 ☆☆☆★★★