APRIL 2011
Diary

4月15日
   「エンジェル・ウォーズ」 と「塔の上のラプンツェル」

 桜も咲いて自粛ムードもそろそろ終わりにしようということで、久々に映画を観にいきました。ワーナー・マイカル・シネマズのポイントも貯まったことだ し、2本で300円(3D料金)は悪くありません。観たのは「エンジェル・ウォーズ」と「塔の上のラプンツェル」ですが、果たして結果は?

「エンジェル・ウォーズ」

 母を失ったベイビードールは、その莫大な遺産を狙う継父に妹を殺されたうえ、継父の策略で精神病院「レノックス・ハウス」に入院させられ、更に 継父の差し金で5日後にはロボトミー手術を受ける羽目になる。この絶望的な現実から逃れるために、ベイビードールは空想の世界に身を投じるが、そこでの彼 女はナイトクラブ「レノックス・ハウス」の踊り子だった。そして、彼女が踊り始めると第二の空想世界が開かれ、そこで会った賢者に「レノックス・ハウス」 から脱出するには5つのアイテムを手に入れなければならないと告げられる。こうして、ベイビードールは仲間の少女たちと共に、夢幻世界で壮絶な戦いを繰り 広げることになった…。
 
 「300」や「ウォッチメン」のザック・スナイダー監督、初めてのオリジナルストーリー作品です。ビジュアルに拘る監督だけのことはあり、映像はどのシーンも素晴らしい出来です。
特にオープニングのシークエンスは、非常に手の込んだ演出に、傑作の予感さえ感じさせます。
しかし、空想世界の二重構造という「インセプション」擬きのアイデアが消化不良のため、観るものを混乱させてしまいます。

 コスプレ美少女隊がファンタジー世界やSFワールドで戦いまくるという、オタクの夢を完璧に具現化することには成功していますが、その目的のた めにストーリを見繕った感じがどうしても拭えません。そのことは物語の迷走具合からも言えることで、観客に丸投げしたようなラストも、単なる苦し紛れにし か見えないのです。
 
 とはいえ、映画は映像だと割り切れば、これ程楽しく面白い作品もないでしょう。一般受けは難しいでしょうが、オタクは狂喜乱舞することでしょう。かく言う私も大変楽しめました。でも、ザック・スナイダーの次回作が少々心配です。 
 
 ★★★★★☆☆☆(劇場はガラガラでした…)

「塔の上のラプンツェル」
 
 森の奥の秘密の場所にある高い塔に、一人の少女が住んでいました。彼女の名前はラプンツェル。21メートルにも伸びたその黄金の髪の毛をもつそ の少女は、母親のゴーテルから外の世界に出ることを禁じられ、18年間も塔のなかに閉じこもっていたのです。そんなラプンツェルにはただ一つ気になること がありました。それは、毎年同じ日に夜空に現れる無数の灯りのことで、ラプンツェルはいつかその正体を知りたいと願っていました。そんなある日、盗賊のフ リン・ライダーが追っ手を逃れて、塔のある秘密の場所にやってきたのです…。
 
 ハリウッド大通りにあるエル・キャピタン劇場はディズニー作品のプレミア上映が行われることで有名ですが、拡大公開前の先行公開劇場の一つでも あります。この先行公開の時に、日に数回ミュージカルと映画のセットで観られる回があって、昔偶然観たことがありました。そのときの映画は「ポーカス・ ホーカス」でしたが、その前に上演されたディズニー・アニメ主題歌メドレーのミュージカルが素晴らしかったことを覚えています。名もない若き俳優たちの歌 唱力の素晴らしさに、米国演劇界の層の厚さを思い知らされたものです。
  
 というわけで、この作品もミュージカルですから、是非とも原語で鑑賞したいところなのですが、例によって字幕版を公開している館がほとんどない のが困りものです。でも、日本語吹き替え版も決して悪くありません。音色の調整が上手いのか、声優のしょこたんと歌手の小比木麻里の境が全く解りません。 さすがディズニー、ミュージカルに関しては全くそつがないです。
 
 ストーリーも映像も全体的に非常に良くできていて、ディズニー長編アニメ50作品目を飾るにふさわしい作品だと思います。まさにディズニー・アニメらしく、だれにでも安心して薦められる作品です。でも、細かいところで少々気になるところがありました。
 
 例えば結局自力で簡単に塔を出られるのに、ラプンツェルが何故これまで塔を出なかったのかという理由付けがゴーテルの説明だけでは、どうにも納 得出来ません。それに、たとえ己の私欲のために塔のなかに幽閉していたとはいえ、何不自由なく育て上げてくれた母であるゴーテルを、いとも簡単に切り捨て てしまえるのだろうかと、少々疑問に感じました。それに、自分の身の上を悟るシークエンスを台詞に頼らず映像だけで見せるのは良いのですが、どうも無理矢 理こじつけたようで、強引すぎる印象を受けました。
 
 とはいえ、映像は相変わらず素晴らしく、特に日本人スタッフが担当した長い髪の描写はまさに神懸かり的なものがあります。それに3Dを最初から 意識した作りになっているので、ストーリーにもマッチしていて、3Dが非常に効果的に使われています。ただ、3Dでリアルに描写されたラプンツェルのギョ ロ目は、もう一回り小さくしても良かったように思います。

★★★★☆☆☆☆☆