OCTOBER 2009
Diary

10月1日「サブウェイ123 激突」
ワーナー・マイカルシネマズ港北センターで「サブウェイ123 激突」を観ました。

 ニューヨーク、地下鉄ペラム駅1時23分発の列車が武装した集団にハイジャックされた。たまたま運行司令室にいたガーバーは、ライダーと名乗るハイジャック犯から交渉役を命じられる。犯人の要求は、乗客の身代金1000万ドルをニューヨーク市が1時間以内に用意することだ。何故犯人はガーバーを交渉人に指名したのか?何故1000万ドルなのか?何故1時間以内に用意させるのか?どうやって犯人は逃走するつもりなのか?謎が謎を呼ぶ、ノンストップ・クライム・アクションが動き出す…。
 
 74年版「サブウェイ・パニック」のリメイク版です。本当は1998年に一度リメイクされていますが、これはトロントで撮影されているので、今作が正真正銘のリメイク作です。前作はウォルター・マッソーとロバート・ショウの軽妙で洒落たセリフの駆け引きが面白かったのですが、今回はどうでしょうか?主演がデンゼル・ワシントン、監督がトニー・スコットということで「デジャヴ」のような切れ味するどい映像の切り返しとか、ちょっと素敵なオチを期待してしまうのですが…。
 
 しかし映像のトニー・スコットとしたことが、どうしたことでしょう?アップを多用したカットや列車のワザとブラした映像など、見辛いだけでとても効果的とは言えません。74年版を踏襲したカーアクションもわざとらしくて、どうにも無理矢理な感じがします。撮影技術は格段に進歩しているはずなのに、印象的なシーンの多かった前作と比べると、映像面でも見劣りがしてなりません。
 
 また前作と違い21世紀を反映して携帯電話やGPS、インターネットにビデオ・チャットといった現代のツールは出てくるものの、ストーリーに生かし切れていません。地下鉄という本筋から逸脱してしまうのを恐れたのでしょうが、それらを見せるだけというのではあまりに芸がないというものです。
 
 とはいえ、ジョン・トラボルタ扮するライダーは簡単に人質を殺してしまうし、何をするか分からない緊迫感があります。ガーバーも前作のように公安局の警部補ではなく、ただの地下鉄職員というのが心許なくて緊迫感を増しています。この二人の舌戦が素晴らしく、今回の見せ場となっています。
 
 でも、ライダーの本当の目的やその仕組みについて説明不足なので、どうにも理解しがたい点が残りますし、ただの地下鉄職員であるガーバーの終盤における行き過ぎた行動も腑に落ちません。序盤のたたみかけるスリリングな展開はゾクゾクする程良いのですが、後半の無理矢理なアクションや余計などんでん返しの挿入で、シナリオも演出もバタバタした感じになってしまったのが残念です。
 
☆☆☆★★★