DECEMBER 2008
Diary

                 12月20日「地球が静止する日」

 地球外生物学者のヘレン・ベンソン博士はある夜、突然政府からの招集を受けます。そして、同様に連行された科学者たちと共に向かった場所で、政府の高官から彼女らは驚くべき事態を聞かされます。宇宙から地球に向かって高速で飛来する謎の物体があり、それはもうじきマンハッタンを直撃するというのです。

 本作は1951年製作「The Day the Earth Stood Still」のリメイクですが、東西の緊張状態にあった当時の旧作では核問題を扱っていました。今作では環境問題に焦点を当てていますが、どうも問題をややこしくしている嫌いがあります。地球を救うために人類を○○するというわりに、宇宙人がとった方法は、人類以外の生物にも甚大な被害をもたらすんじゃないかと思うんですけれど…。それも、警告なしにいきなりというのは、あんまりじゃないかと思いますよ。

 確かに謎の球体や破壊シーンのVFXは見事で、アカデミー賞視覚効部門の候補に挙がったのも頷けます。ただ残念なことは、描かれるべき肝心のシーンが欠落していることです。球体の位置からして、当然マンハッタンの破壊シーンが観られると思ったのに…。そこが無いので、人類が絶滅する恐怖のドラマ的な盛り上がりに欠けて、今ひとつカタルシスを得られないんですね。
 
 それに、そもそも何故(宇宙人)クラートゥが心変わりするのか、肝心な点がどうもあやふやで、よく分からないのです。まあ、宇宙人の考えることですから、我々地球人には計り知れない論理と考察があってのことかも知れませんけれど。
 
 清水寺で発表された今年の漢字は「変」ということですが、この作品で描かれているテーマも「人類は変われるか?」ということです。果たして我々は「Yes、we can!」と胸を張って言えるでしょうか?
 
 ☆☆☆★★★(キアヌ・リーブスありきの企画ではないかと思えるほど、彼はハマっています。彼は「マトリックス」から、もう3度も人類を救っていることになります)