JUN 2008
Diary

6月12日 「スカイ・クロラとグーグー」
  
 池田憲章クンの誘いで新橋にあるワーナー試写室へ「スカイ・クロラ」の試写を観に行きました。押井守監督久々の長編アニメ作品です。
  
 舞台は別の世界の地球。束の間の平和を維持するために、ショーとしての戦争を必要とし、TVで観戦することでしか平和を実感することのできない大人達の時代。キルドレという思春期のままの姿で戦闘に駆り出される新人類がいた。…ということは劇中では殆ど説明がありません。

 ともかく、そういう奇妙な世界での話。ある時、欧州の前線基地にひとりの飛行機乗りが配属されてくる。彼はキルドレで思春期の姿のまま歳をとらず、戦闘で死ぬまで生き続ける運命を背負った新人類であった。前線基地には彼と同じキルドレの戦闘機乗りが3人いて、基地の司令官も以前は女性エース・パイロットのキルドレの一人だった。だが、何故か彼の前任パイロットについては誰も語ろうとしなかった…。

 作品の舞台はSF的でありますが、ただひたすら主人公の日常を淡々と描写していきます。その日常の会話の中から舞台背景や決して越えられない思春期の若者の焦燥感といったものを探り出すといった趣向の作品です。ですから、爽快なスカイ・アクションや娯楽作を期待すると肩すかしを食らってしまいます。実際クライマックスも非常に淡々と進み、意外にあっけなく終わってしまいます。でも、面白くないかというと、これが実に面白いんですね。押井監督独特の語り口が知的好奇心をくすぐり、なかなか味わい深い作品に仕上がっています。こんなアニメ、他では決して拝めないでしょう。ですから、これも日本アニメのひとつの到達点と言って差し支えないのではないでしょうか。 

 ☆☆☆☆★★★ 
 (戦闘機乗りの話にしては、意外と空の描写が淡白で、その手のファンにとっては物足りないかも?)
 
 さて、夕方には第12回手塚治虫文化賞の授賞式が行われました。今回の受賞者の目玉は「グーグーだって猫である」の大島弓子さんです。果たして、大島弓子さんは授賞式に出られるでしょうか?と思ったら、やっぱり来られませんでした。代わりに登場したのが、映画で先生役を演じた小泉今日子さんで、これはこれで意外なサプライズでした。