FEBRUARY 2007
Diary

2月26日「第79回アカデミー賞」
 今年のアカデミー賞は大方予想通りの結果ではありましたが、作品賞に「ディパーテッド」を持ってくるのはどうかと思います。そもそも香港映画のリメイクだし、わざと下品な描写も多々あるし、個人的には「シカゴ」同様納得しがたい点もあるのです。

 でも考えてみれば、作品賞はこれしかなかったのですね。主演男優、主演女優は王と女王に決まっているけれど、それぞれウガンダと英国の話だし、対抗馬の「バベル」は米国というよりメキシコとモロッコと日本の話だし、「硫黄島からの手紙」なんか出ているのは日本人ばかりだし、「ドリームガールズ」は黒人映画だし、「リトル・ミス・サンシャイン」は独立系の小品だし…、アカデミー会員たち自身の今後の仕事を考えれば、「ディパーテッド」を選んでおいた方が、より良いと言えるでしょう。

 まあ、そんなわけで面白味に欠けた今年の授賞式でしたが、少しだけ良いことがありました。そのひとつはエンニオ・モリコーネに特別賞を授与したこと。それも、プレゼンターがクリント・イーストウッドというのが泣かせます。だいたい今まで一度もアカデミー賞を獲っていないってことがおかしいですから、これでようやくアカデミー協会もホッとしたことでしょう。

 で、もうひとつがマーチン・スコセッシがようやく監督賞を受賞したこと。それも、プレゼンターはコッポラ、スピルバーグ、ルーカスというのですから、もう嘘みたいな演出ですね。みんな若手の頃から苦楽を共にした仲間です。本当ならここに、ジョン・ミリアスとデパルマを入れたいところですが、ともかくこの4人が揃うというだけでも凄いことです。それに考えてみれば、みんな黒澤明を信奉する「黒澤の子供たち」ですから、日本人としてもこれは嬉しいことです。

 他にも、アラン・アーキンが助演男優賞をようやく獲ったことも嬉しかったですが、短編アニメ部門で「The Danish Poet」が獲ったというのも、心温まる出来事でした。いや、アカデミー協会もまだまだ捨てたもんじゃないと、思わずホッとしましたね。
詳しい結果は次の通りです。
http://www.oscars.org/79academyawards/noms.html