AUGUST 2006
Diary

8月23日 「SAYURI」
 遅ればせながら「SAYURI」をDVDで観ました。いや、思わず感動しちゃいましたね。よくぞ撮ってくれたアメリカ人!とさえ思いました。とにかく美術が素晴らしく、同じ日本の風景なのに、どうしてこんなにも映像が違うのかと、日本人として非常に口惜しく思います。いや、立派な作品ですよ。

 DVDには日本語吹き替えもあるのですが、日本人俳優の吹き替えが本人でないので、字幕スーパーで観る方が良いです。まあ、映画の中で日本人が英語を喋ったり、日本語を喋ったりとゴッチャな言語で喋っていますが、これはあくまでも米国の観客向けに作られているので仕方ないでしょう。むしろ、主演クラスの女優が殆ど中国人なので、変な日本語を喋らせるよりはずっと良いと思います。では、何故中国人女優に主演をやらせたのかというと、適切な人材が日本では見つからなかったからですね。それはチャン・ツィイーらの演技を観れば火を見るより明らかです。もう彼女たちの堂々とした演技や美しさにはひれ伏すばかりで、ごもっともとしか言いようがありません。

 でも、だからといって、日本映画人はダメだというわけではありませんよ。脇を固めている日本人俳優たちは、とっても立派で、皆素晴らしかったです。さすが国際俳優と呼ばれるだけのことはありますね。

 日本人から観て、文化を取り違えているとかいろいろ批判がありますが、逆に日本人が忘れてしまった、節度や、優しさや、礼儀や、奥ゆかしさや、忍ぶ恋や、女の誇りや、羞恥心などといったものが、この映画にはあるのです。アメリカ人が理解して、日本人が分からないというのは、とても恥ずかしいことだと思います。

 あと、ここに出てくる女の子(大後寿々花ちゃん)がとっても良いですよ。もう、この子が出てくるシーンは泣けるほど良いです。この映画の成功の3分の1は、この子のおかげと言っても過言ではないでしょう。

 この映画の中で描写される日本は確かに変ですが、劇中一度もここが「京都」だとか、「祇園」だとかは言っていません。つまり、これはあくまでも日本みたいな国の「ファンタジー」なのです。その意味では「三丁目の夕日」と同じ部類の映画と言えましょう。