JUNE 2006
Diary

  6月1日「ナイロビの蜂とハマグリ」
 
 映画の日なので、ワーナー・マイカル新百合ヶ丘へ映画を観に出かけました。入場料1000円とあってさすがに人手が多いです。こんなことなら毎日この料金で見せて欲しいモノです。私が映画の日にしか映画を観ないようにしているのは、「レディースデイ」に対するささやかな抵抗ですからね。(「マンズデイ」作ってくれたら許してやるけど…)
 
 そんなわけで、今日観た映画は「ナイロビの蜂」です。 実はこの映画、初めは観る気がなかったのですが、「ナイロビ」という地名にそそられて観る気になったのです。なにしろ、いかにも女性映画という韓流好みの客層を狙ったCMや、薄笑いを浮かべる不気味な霊能者の映像など見せられたら、明らかに良識ある男は観に来るなと言っているとしか思えません。でも、「ナイロビ」には特別な思い入れがあるのです。だから観に行きましたよ、魂を吸い取られる覚悟で。
 
 ナイロビの空港(多分ウィルソン空港)で妻テッサを見送った英国外務省一等書記官ジャスティンのもとに訃報が入ります。ロキへ向かったとばかり思っていた妻の遺体がトゥルカナ湖で発見されたと知ったジャスティンは、テッサの行動に不審を抱きます。妻はなぜそんな場所に、何をしに行ったのだろうか?そして事故死と報告された妻の死因と謎の行動を探るうちに、ジャスティンはアフリカの大地で繰り広げられている闇の部分を知ることになるのです…。
 
 ハッキリ言って、CMで強調していることは、この映画の主題の一部でしかありません。もっと深くて重いテーマが、この映画にはあります。この作品はラブストーリーであると同時に、サスペンスドラマであり、硬派な社会派ドラマでもあるのです。むしろ主眼としているところは後者の方にあるかも知れません。ですから、韓流映画のような甘い恋愛ドラマを予想していると、そのあまりに重いテーマ性に面食らってしまうかも知れません。アフリカを舞台にしながらも、野生動物なんて鳥くらいしか出てきませんから、雄大なアフリカというイメージからすると、ちょっと期待はずれかも知れません。でも、一般にイメージされている野生の王国なんて実際には自然保護区だけの話ですから、これがアフリカの現実なのです。
 
 それにしても、この映画で最も驚かされることは、ナイロビのスラム街でちゃんとロケをしていることです。こんなこと、ケニヤ政府の協力無しでは有り得ません。普通の観光客がこんな所へ行ったら、身ぐるみ剥がされちゃいますからね。エンドロールを見ると実際ケニヤ政府が協力してくれたようなので、これにも驚かされます。昔は税関でもワイロを渡さないと通してもらえなかったような国が、自国の恥をさらすような映画にも協力するようになったのですから、大変な変わりようです。ともかく、こんなにも治安が悪く不衛生な場所でのロケを敢行した、撮影スタッフと俳優達の努力と勇気には頭が下がります。
 
 この作品の原題は「The Constant Gardener」ですから、直訳すれば「誠実な庭師」ということになるのでしょうが、主人公が庭いじりにかまけているという描写が希薄なので、邦題の「ナイロビの蜂」の方が内容にマッチしているような気がします。ことに「蜂」という言葉が色々なことを暗示していて、なかなか優れたタイトルだと思います。つまり、それは企業の名前であり、甘い蜜を搾り取られるアフリカの人々であり、そういった現状を告発する活動家を意味します。もちろん、原題の方も「Gardener」と「guardian」をかけているようで、なかなか味わい深いタイトルです。つまり、前者はジャスティンであり、後者は夫を守るテッサと捉えることも出来るのではないでしょうか?
 
 出演陣の演技もさることながら、フラッシュバックを多用してまとめあげた演出の腕も、巧みなシナリオも、泣かせる音楽も、すべてが一級の見事な作品です。「シティ・オブ・ゴッド」で名を馳せたフェルナンド・メイレレス監督ですが、その実力が本物だということを、この映画で証明したように思います。力強くキレのある演出が、観る者の心に重いメッセージと感動を与え、やるせない現実と隠された愛が涙を誘います。

 とはいえ、個人的には主人公の行動が今一つ理解できません。私ならトゥルカナ湖に行かず、そのまま逃げるけどなあ…。それじゃ、愛がないかな?
(評価 ☆☆☆☆☆★★★★)
 
 さて映画を観た後、小田急線に乗って、さくまあきらクンのお宅に行きました。しばらく会っていないうちに二人目の孫まで生まれたとあって、もう驚かされっぱなしです。なんだか気がつかない間に、随分と時間から取り残された気がします。う〜む、この歳になると、ホントに時間の経つのが早い。それにしても家の中は、さくまクン以外はみんな女性ばかりじゃないか!なんか羨ましいぞ!
 
 久しぶりに会ったので、あれこれ業界のことなど近況を話して、その後青山の「」へ行き、ハマグリ(だけじゃないけど)をご馳走になりました。なんだか知らないけれど、どんどん焼きハマグリが運ばれてきます。まるでハマグリのわんこそば状態です。美味しいのでパクパク食べていたら、目の前に田森貝塚が出来ていました。店内はさすが青山というオシャレな雰囲気で、OL風の若い女性が次々と入ってきます。SCEのそばにこんな店があったなんて気がつきませんでしたが、これは良いお店を教えてもらいました。舌も目も満たされて、これは大変ご馳走様でした。