JANUARY 2006
Diary

 1月6日 「宇宙の夕日」
 「三丁目の夕日」の公開が終わってしまうので、慌ててワーナー・マイカル新百合ヶ丘へ行きました。ついでなので「ザスーラ」も観ました。正月は輸入DVDを観まくったし、3日には「ハリーポッターと炎のゴブレット」日本語吹き替え版を観たし、昨日はTSUTAYAで借りたDVDを観たし、今年は新年早々映画の見過ぎです。自粛しなければいけませんが、その前に映画の感想を…
 
 「ザスーラ」
 「ジュマンジ」や「ポーラ・エクスプレス」と同じくクリス・バン・オールスバーグ原作の映画化です。ボードゲームの世界が現実になる「ジュマンジ」の宇宙版という趣向ですが、全編を彩るレトロなデザインがいかにもセンス・オブ・ワンダーという感じでSF少年の心をくすぐります。しかもシナリオがなかなか良く出来ていて、日頃喧嘩ばかりしていて互いの存在を疎んでいた兄弟が、ボードゲームの冒険を通じて結束し、和解していく様が見事に描かれています。
 
 面白さとしては「ジュマンジ」には及ばないものの、このレトロなテイストは実に心地良いものがあります。個人的にはもっとマニアックな要素も入れて欲しいですが、子供達にも観てもらうためにはこの位が適当なのでしょう。SF少年の心を持つ人々に是非とも奨めたい佳作ですが、子供の観客を意識した作りになっているため、大人には少々食い足りないかも知れません。

 ☆☆☆★★★
 
 「ALWAYS 三丁目の夕日」
 昭和30年代の東京を舞台にした西岸良平の同名漫画を映画化した作品です。原作シリーズ中のいくつかのエピソードを上手く絡ませて一つの物語を構成していますが、なかなか良い出来に仕上がっています。CG技術を駆使して再現された当時の風景も結構良くできています。しかし当時を知る者としては、ここに描かれた昭和30年代に違和感を感じずにはいられません。何というか、空想で描いた昭和30年代という感じで、決して現実の世界ではないのです。
 
 建物など細かいところまで実に丁寧に再現したつもりでしょうが、そこに人間が住んでいるという生活感が感じられないのです。そのわけは、あまりに綺麗すぎるということですし、狭い路地など人間が通る抜け道がないということ、銭湯や映画館といった人々の生活に密着した施設がないということ、夕暮れ時に煙突から流れる煙の一つもないということなど…とにかく生活の臭いを感じさせる大事な物が殆ど欠落しているのです。
 
 大昔のことなら誰も知らないので嘘で通せますが、ちょっと昔でその時代描写を売りにしているとなると、観る目がどうしても厳しくなってしまいます。このあたり、もっと年配の監督だったらちゃんと描写できたに違いありません。この点がいかにも残念です。いや、もしかしたら端からそんなつもりで作ったのではないのかも?(例えば「SAYURI」のように)外国人が作った日本映画という感覚で観るのが正しいのかも知れません。その意味で、この作品は「レトロ・ファンタジー」と言えます。
 
 ☆☆☆★★★
 (評価:☆は個人的好き度、★はお奨め度。ただし赤はマイナス!)