SEPTEMBER 2005
Diary

   9月1日 「映画の日」
 
 今日は映画の日なので、いつものようにワーナー・マイカル新百合ヶ丘に行きました。夏休みが終わったと安心していたのに、劇場内は子供達でごった返していました。そうか、始業式が終わってから来たのか!
 
 本日のお題は「妖怪大戦争」と「マダガスカル」。この夏、子供も大人も楽しめる娯楽作品…のはず。場内には子供も沢山いるので、その反応も気になります。
 
 「妖怪大戦争」
 もう、妖怪がわんさかわんさか登場する、妖怪見本市みたいな映画です。これだけ沢山の妖怪が出てくる映画なんて、今まで見たことありません。その点、妖怪マニアにはたまらないでしょう。でも一般の観客には妖怪の種類が多すぎて、何が何だか分からないかも知れません。…なんて危惧していたら、周りの子供達はみんな妖怪の知識が豊富のようで、妖怪が登場するたびに名前を連呼していました。いつの時代も、やっぱり子供は妖怪好きなんだなぁ。
 
 そんなわけで、妖怪が沢山出るのは良いのですが、それにしてもこの話はちょっとまとまりがないように思います。登場人物が多いせいもありますが、「それで彼はどうなったんだ?」とか「だから、あの言葉の意味は何なんだ?」という具合に、投げかけられた沢山の伏線が尻切れトンボのまま終わっています。(以下自主規制)
 
 そもそもタイトルの「大戦争」だって、実際は「けんか祭り」だし、結局主人公は何の役にも立っていなかったんじゃないだろうか?なんて疑問も沸いてきます。それに、敵の大将はハッキリしているのですが、味方のリーダーが今一つハッキリ描写されていないので、どうも日本妖怪勢の意思系統が曖昧で判りにくいです。(まあ、そこが妖怪らしいところですが…)一応「ぬらりひょん」が妖怪の総大将であるということぐらいは、ちゃんと説明しておいた方が良いと思いますよ。

 とはいえ、栗山千明と高橋真唯の際どい衣装には思わずドッキリさせられます。この二人はどんな妖怪達よりインパクトがあり、まさにこの作品の目玉といっても過言ではありません。これじゃあ、敵の大将加藤も影が薄い。この二人に対抗出来るのは、やはり島田久作以外に考えられないでしょう。
 
 ともかく、作品としては拙い所も多々ありますが、妖怪の「不気味さ」「滑稽さ」ばかりでなく「萌え」まであって、子供も大人も充分楽しめる映画であることには間違いないと思います。
 
 「マダガスカル」
 ドリームワークスの最新CGアニメです。ニューヨークの動物園で悠々自適の生活を送っていたカバとシマウマとキリンとライオンが、動物愛護団体によって無理矢理アフリカに強制送還されてしまうのですが、途中で船がハイジャックに逢ってマダガスカルに流れ着きます。さあ、いきなり大自然に放り出された彼らの運命や如何に?
 
 この作品はアニメにしては珍しく(というかアニメだからこそ出来た)、実にデリケートなテーマを扱っています。アニメによって人間の人格を与えられた動物たちが自然回帰を強制された時、如何にとまどい葛藤するかが面白く描かれています。しかしこの滑稽さの源泉は、実は不遜な人間の歪んだ思想にあるのです。
 
 自然環境に投げ出された時、肉食獣のライオンは草食獣の仲間達との友情を保つために、自己犠牲と気も狂わんばかりの苦しみを味わうことになります。これはまさに、ライオンにも菜食主義を強要する過激な平和主義者を皮肉っているかのようで、妙に乾いた笑いを誘います。
 
 このように、動物たちを主人公にしながらも「マダガスカル」は実にシニカルでハイブロウな笑いに溢れています。アフリカの傍にありながら、独自の種族と生態系を保っている不思議な島の名をタイトルに掲げている点も、なかなか味わい深いものがあります。
 
 ちなみに主人公達が初めて島に流れ着いた時、思わず「サンディエゴ動物園だ!」と叫んで小躍りしたのには笑えました。なにしろサンディエゴ動物園は動物を自然の環境で飼育していることで有名な、世界最大の動物園だからです。(現在は「ズーラシア」の方が大きいかも知れませんが…)動物園で育った彼らにとっては、自然に近い形ではあっても良く管理された動物園こそが理想の住処なのかも知れません。う〜ん、そうなのかな…?