JUN 2005
Diary

6月18日 「SFの日」

  本日は勝手ながら「SFの日」とさせて頂きます。というわけで、行ってみよう、怒濤の一日!

 〈Episode 1
 朝早く起きて、取るものも取り敢えず家を出ようと思ったら、どういうワケか家の鍵が見あたりません。昨夜遅く帰宅した時、鍵をどこかに置いたらしのですが、それがどこだかどうしても思い出せません。ほとんどパニック状態で部屋の中をあちこち探し回ること1時間。擦った揉んだの末、ようやくショルダーバッグのサイドポケットの奥底に、どうやって紛れ込んだか分からない件の鍵を見つけました。
 
 とんだ事で出足からつまずいてしまいましたが、とにかくバスに飛び乗って駅へ急行。電車を乗り継いで有楽町に向かいました。目指すは東京国際フォーラム!実は今日、ここで「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」のプレミア試写会があるのです。
 
 ホールAの入り口近くで和田慎二さんと合流し、座席指定券を無事受け取りました。和田さんは徹夜で仕事をした後、一睡もしないまま会場に駆けつけたそうですが、既に会場前には長蛇の列が出来ていたそうです。いや、ご苦労様でした。
 
 近くのコーヒーショップでしばらく時間をつぶして再び会場に戻ってみると、入り口の前はもの凄い人集りです。開場の合図と共に人の波にもまれながらが入場すると、おおっ!ダース・ベイダーを始めクローントルーパーら帝国軍の皆さんやバウンティ・ハンターの強者達が並んでお出迎えしてくれました。見渡すと、入場客の中にもコスプレメンバーが紛れています。いやー、盛り上がってきましたね。
 

 さて、会場となった「ホールA」は東京国際フォーラムで最も大きなホールで、座席数がなんと5012席もあります。劇場形式でちゃんとした音響設備も完備しているのですが、なにぶん大きすぎるので映画上映に向いているとは言い難いところがあります。折角の巨大スクリーンも最後部では小型のワイドテレビ並の大きさになってしまうし、サラウンド効果も殆ど感じられません(というか、元々そういう音響設定になっていないんじゃない?)。
 
 が、しかし!嬉しい事に、今日のプレミア試写会は、なんとデジタル上映ではありませんか!つまり、日本で最初の「エピソード3」デジタル上映というわけです。これはなんというラッキー!さあ、固唾を飲んでサーガの終焉を見届けましょう。
 
 「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」
 
 いよいよスター・ウォーズもこのエピソード3で完結(のはず)です。「エピソード4/新たなる希望」に繋がる重要な話です。「アナキン・スカイウォーカーがどのような理由でダークサイドに堕ち、如何にしてダース・ベイダーに変貌したのか?」という謎も明らかになります。
 
 主人公が悪に染まり、悪の権化になってしまうという予定調和に向けて、創造主ルーカスがいかに話を組み立てるかが注目の的なのですが、その手並みはお世辞にも上手いとは言えません。肝心の動機が今一つピンと来ないので、どうしても主人公に感情移入出来ないのです。そもそも銀河全体に渡る壮大な物語であるだけに、伝えるべき情報があまりに多すぎて個々の印象が希薄になるのは致し方ありませんが、それにしても、もっと上手い方法があったんじゃないかと思います。
 
 …などと、観ている間、不満が沸々と湧き上がってきますが、それでも、さすがに最後のシーンには否が応でも感動せずにはいられません。なんだかんだ言っても、やっぱり「スター・ウォーズ」が好きなんだなあと再認識する瞬間です。恐らく会場にいる全ての観客が思いを同じくしたでしょう。そして同じ時代、同じ空間で、同じ体験を共有したことを感謝したでしょう。「スター・ウォーズ」というのは単なる映画というより、存在そのものが一つの文化であり、現象なのですね。
 
 ILMの創り出す映像は益々磨きが掛かり、今回は神懸かりとも言うべき凄まじい映像を見せてくれます。アカデミー協会も、来年くらいは賞をあげても良いのではないでしょうか。デザイン面でも「エピソード4」に繋がる関連性を見出すことが出来て、細部にまで拘った絵作りに感心させられます。メビウスやフォスといったSF画家達の夢を、ものの見事に実写化して見せるCG技術には、ただただ驚くばかりです。
 
 そして何より素晴らしいのがジョン・ウィリアムズの音楽です。とにかく今作程音楽の力の偉大さを痛感した事はないでしょう。各キャラクターのテーマがメロディーとして既に確立しているので、目を閉じていても音楽を聴くだけで画面が思い浮かびます。登場人物の細やかな心の動きについては、むしろ画面よりも雄弁に語っている部分さえあります。全編目を閉じて音楽だけ聴いたとしても、きっと感動出来るに違いありません。
 
 それにしても、戸田奈津子の訳には相変わらず困ったものです。「エピソード3」はスター・ウォーズシリーズの集大成という側面もあり、各エピソードのシーンに引っかけた面白いセリフがいくつも登場するのですが、その辺り全く分かっていないので、実に頓珍漢な訳になってしまっています。少なくとも事前に「エピソード4」〜「エピソード6」位は観ておいて欲しいものです。この点については、ファンの間でまた物議を醸すかも知れません。
 
 さて、上映後にプロデューサーのリック・マッカラム氏が壇上に現れ、SWシリーズの今後の展開について話してくれました。それによると、今のところ「エピソード7」は無いとのことですが、「3」と「4」を繋ぐ100時間のTVシリーズを製作するそうです。また、全シリーズの3D映像化も企画しているようで、こりゃまだまだSW熱は治まりそうもありませんね。

エピソード3の内緒話(ネタバレのため伏せ字)
1)「コード66」の「66」とは、「〇〇〇を掘る」という隠語だそうです。ですから、ジェダイの騎士達が背後から撃たれた時、アメリカの観客は思わず吹き出したことでしょう。
2)オビ=ワンがグリーバス将軍を倒した時、持っていた銃を「Uncivilized!」と言い放って投げ捨てるのですが、ここはもちろんエピソード4と同様に「野蛮な!」と訳すべきです。しかし、試写会版では「掃除が大変だ」みたいなとんでもない訳になっていました。
3)キャッシークの戦いで、湖から3本足のタコ型ロボットが登場しますが、これってやっぱり29日公開のあの映画に引っかけたんでしょうかね?
4)ご多分に漏れず、画面のどこかにミレニアム・ファルコン号が登場しているそうです。もしかしたら、シリーズのキャラクターを全てどこかに登場させている可能性も無いとは言えませんね。

 〈Episode2
 隣のホールでスター・ウォーズのオフィシャル製品展示会が開かれているそうです。ついでですから、ちょっと覗いてみました。うぉお〜っ!またペプシのボトルキャップが始まるのか!これで、ホントにホントに最後なのかなぁ?今年の夏もまた暑いぜぃ。

 会場から出た所で和田さんと別れ、私だけ次の場所に移動しました。目指すはあの六本木ヒルズです。オープンの時からあれほど嫌っていた場所なのに、何故か奇妙な縁があって、又しても行ってしまいました。そして又しても迷ってしまいました。だから嫌いなんだってば、六本木ヒルズ。

ここにやって来た目的は、そうあの映画を観るためです。今日は何を隠そう「バットマンビギンズ」の公開初日なのです!「バージンTOHOシネマズ六本木ヒルズ」第7スクリーンの真ん中の席に鎮座して、新しいヒーローの誕生を見守ることにしましょう。
 
 「バットマンビギンズ」
 
 「メメント」のクリストファー・ノーラン監督とあって、やや危惧されたところもありますが、監督曰くところの「リアルなバットマン」像が実に見事に表現されています。渡辺謙が演じるラーズ・アル・グールはほんの少ししか登場しませんが、もの凄く存在感のある重要なキャラなので、これだけで消えるとはとても信じられません。(渡辺謙の出番は恐ろしく少ないので、彼目当てに観に行った人はがっかりするかも知れません)恐らくホームズに対するモリアーティ教授のように、シリーズを通してバットマンに対峙し続けるのではないかと、私は勝手に想像してしまいます。
 
 この「バットマンビギンズ」は、ハッキリ言って、過去のバットマンシリーズとは一線を画す、全く新しいバットマン映画の誕生を意味します、シナリオといい、映像といい、演技といい、とにかく過去のバットマン映画における漫画的要素を払拭し、充分大人の鑑賞に堪えられる高品位の作品に仕上がっています。
 
 その意味で、子供向きでない分、逆にアメリカでの爆発的な興行収入は見込めないかも知れません。むしろ上質なカルト映画の趣さえあるこのバットマンを私は大変気に入っていますが、このままシリーズとして定着するかは、なかなか微妙なところでもあります。嘘でも良いですから、もう少しけれん味のあるオーバーなアクションも欲しかったと思います。折角クリスチャン・ベールが主役なのですから、「リベリオン」的なトンデモ・アクションがあっても良かったのではないでしょうか。
 
 とは言え、バットマン映画としては、未だかつてない最高の出来であることには間違いありません。(ティム・バートン版も捨てがたいですが…)願わくば、この続編が作られることを、そしてラーズ・アル・グールの復活を願って止みません。
 バットマンビギンズの内緒話(ネタバレ無しですが伏せ字)

1)新型バットモービルのコクピットを、ジョフ・ダロウ君がデザインしたと言っていましたが、車体のデザインは違うようです。とは言え、最近彼がシカゴに引っ越しした謎がようやく解けました。ゴッサム・シティのモデルは、なんとシカゴだったんですね。この分だと「シン・シティ」のモデルも、きっとシカゴに違いありません。
2)米国では当初6月17日(金曜)公開の予定でしたが、「宇宙戦争」などの公開が控えているため、急遽6月15日(水曜)に公開日が繰り上げられました。そのため「15日(水)公開」と「17日(金)公開」の二種類のポスターが街角に貼られるという異常事態が発生してしまいました。加えて、通常米国内で行われるプレミアショーを日本で行ったため公開日の変更がマスコミにもあまり取り上げられず、おかげで初日の興行収入を大幅に鈍らせる結果を招きました。ですから、例えこの作品が興行的に上手くいかなかったとしても、それは偏にワーナー幹部の責任であり、作品の出来とは関係ありません。

 〈Episode3〉 
 そして最後に向かったのが、恵比寿のアミューズメントメディア総合学院本館です。ポポロのセカンドアニメのシナリオラーター、岡田麿里さんに誘われて、「夢人塔・東京パーティ05」に参加したのです。いわゆるSFマニアの集会で、参加者には夢人塔代表の浅尾典彦、「スターログ」の井口健二、「宇宙船」の聖咲奇、スーツアクターの破李拳竜、シュール・レアリストのスクリーミング・MAD・ジョージ(敬称略)など濃ーい業界人達が一堂に会しています。
 
 本日は更に「エピソード3」公開に合わせて来日しているスターウォーズ俳優(ラスティ・ゴッフ、クリスティーン・ヒューイット、ショーン・クロフォード、ティム・ドライ)やデザイナーの人達(ハンス・ジェンセン、リチャード・チェイスモア)も参加して、てんやわんやの大騒ぎです。
 
 あいにく旧知の池田憲章クンは来れませんでしたが、これだけマニアックな人々が狭い空間に集まることはなかなか凄いことです。さすがの私も、トンデモ異空間にハマって、危うく正気を失いかけるところでした。
 スクリーミング・MAD・ジョージの新作映画「Boy in the Box」のプロモーション映像などが上映された後に、恒例のマニアック・ビンゴ大会が開かれ、私はちょっと珍しい「MAGIC ROBOT Quiz Game」をゲットしました。磁石でロボットがくるりと回転し、クイズに答えるという、ちょっと不思議な玩具です。単純な仕組みですが、遊んでみるとこれがなかなか面白くて、結構ハマりそうです。


1)左の円でロボットの針をクイズに合わせます 2)右の円にロボットを置くと、くるりと回って答えを指します
 
 会の最後には全員で記念写真を撮り、みんなで再会を誓いながら解散となりました。それにしても、今日は最後の最後までSF漬けの一日でした。いや、疲れた…