JUN 2005
Diary

6月1日 「ミリオンダラー・ベイビー」

 今日は映画の日です。例によって、ワーナー・マイカルシネマズ新百合ヶ丘へ映画を観に行きました。今回は話題の「ミリオンダラー・ベイビー」と、気分転換の「ブレイド3」です。前者が重そうなので、超軽量級の作品も併せて観ました。

 本年度アカデミー賞で作品・監督・主演女優・助演男優の主要4部門を獲得した話題の映画です。かなり重いテーマを扱っているそうなので、一応それなりの気構えで臨みました。おかげで観る前から気分が重いです〜。
  
 観てみましたが、さすがに重い(内容は伏せます)テーマです。これが日本の映画なら、これでもかこれでもかと泣かせてくれるのでしょう。でも、イーストウッド監督ですから、そんなことはしません。過剰な涙でテーマをぼかさない位の分別は持ち合わせていますから。
 
 イーストウッドのこれまでの映画にも言えることですが、ともすれば大仰な表現になりがちなテーマを、抑制の効いた演出で淡々と細やかに見せるスタイルは、ジャズにも似た大人の深い味わいがあります。ですから彼の映画では、ほんの一瞬の映像や一言に大きな意味が込められています。
 
 例えば最後のシーンの解釈は観た人それぞれによって違うと思いますが、主人公フランキー・ダンの一言や鞄に入れた小物などに気を停めていれば、モーガン・フリーマンのナレーションも相まって、実に切ない父娘愛を感じとることが出来るでしょう。それも決して断定的でない…。かすかな希望さえ抱かせる、まさに珠玉のラストシーンです。
 
 「ミリオンダラー・ベイビー」はボクシングで言えば、強烈なKOパンチというよりは、次第にダメージが効いてくるボディ・ブローのような作品です。心を許せる人と一緒に観て、後でじっくり語り合えば、人の尊厳と生き方においての重要なヒントが何か見つかるかも知れません。
 
 それにしても、この映画に登場する役者はみんな達者です。メインの3人はもちろんですが、脇役がこれまた凄い。特にマギーの母親役の人なんか、画面に登場するだけで嫌悪感を催してしまう程です。いつもながら、役者の層の厚さを痛感せざるを得ません。
 
 さて続いて、暗い気分を吹き飛ばせとばかりに「ブレイド3」を観たのですが、前の作品の印象が強烈だったため、かえって軽さばかりが目に付いてしまいました。それにしても、いつから吸血鬼がこんなに弱くなってしまったのでしょう?こんなに簡単に生身の人間に倒されては、ブレイドの強さも印象が薄くなってしまいます。それに、刀をもっと有効に使ってくれなければ、名前が廃るというものです。

 i-podを聞きながらの戦闘など、アップルとのタイアップが随所に見られ、スタイリッシュというより野暮ったさを感じてしまうのが残念です。