APRIL 2005
Diary

4月1日
 「切ない賭け」
 
 今日は映画の日なので、無理矢理時間を空けて映画を観ました。今年は元日からずっと「映画の日にしか映画館で映画を観ない」という習慣を続けていますが、今やむしろ「映画の日には映画館で映画を観る」という義務になっているようです。ということで、今月選んだ映画は「ロング・エンゲージメント」と「ナショナル・トレジャー」です。「アビエイター」は上映時間が長いので、思わず敬遠してしまいました。
 
 「ロング・エンゲージメント」は「アメリ」のジャン=ピエール=ジュネとオドレイ=トトゥが再び手を組んだ期待の大作です。第一次大戦中、兵役を逃れるために軍紀違反を犯し、死刑を宣告された5人の兵士に関わるミステリーをジュネ特有の不思議な感覚ときらめく映像で一大絵巻に紡ぎあげています。
 
 この物語で面白いのは、ミステリーの謎を解く鍵が一兵士の婚約者の直感と信念であるということです。主人公のマチルドは幼い時から足が不自由ですが、その不自由さ故、自らを空想の世界に置いて物思いにふける習慣があります。そして両親の突然の死など度重なる不幸から、自らの運命を自分との賭けに委ねるようになりました。だから婚約者の兵士が処刑されたという知らせを受けた時も、自分との賭で、婚約者の生存を確信するのです。
 
 この直感が様々な人々との出会いを生み、赤い糸に引き寄せられるように、婚約者の所へとマチルドを運んでいきます。はじめは過酷で絶望的と思えた運命も、謎が解ける内に実は驚く程寛大で、いつでも希望の光を灯していてくれたことに気が付きます。
 
 どんな境遇にあろうとも、人生はそんなに捨てたもんじゃない。「信じていれば道は必ず開けるもんだよ」と、そんな気にさせてくれます。だからこの映画は実に素晴らしい作品だと思います。
 
 ただ登場人物も多く、それらが複雑に絡んでいるので、顔と名前を一致出来ないと、内容を把握しにくいかも知れません。また、言葉より絵で多くを表現するジュネ監督の映像への拘りもあって、細かい描写を見落とすと意味が分からなくなる所も多々あります。DVD化した時には、是非とも日本語吹き替え版でじっくり見直したいものです。
 
 さて一方の「ナショナル・トレジャー」ですが、こちらの方は例によってジェリー・ブラッカイマー印の大味娯楽大作。頭を空にして適当に楽しめる作品に仕上がっています。アメリカの名所旧跡を散りばめて、有ること無いこと全部関連づけるお話作りには結構唸らされる物があります。ただ、この手の話はアメリカ人には面白いでしょうが、日本人にはどうもピンと来ません。正直なところ「独立宣言書」がどうなろうが他人事ですし、それに結局お宝は世界各地の略奪品だったりするわけですから、この宝がアメリカの物だと言われても手放しには喜べないのです。良くも悪くもアメリカ映画ということでしょうか。
 
 家に帰ってテレビをつけたら、NHKで今日から「柳生十兵衛七番勝負」が始まっていました。おおっ、これは本格的な時代劇じゃないか!また一つ楽しみな番組が増えました。でも、惜しむらくは一昨年の大河ドラマもこのくらい真面目に作って欲しかったなあ。