
映画評
注意!映画の内容について、ネタばれがあります。
(評価:☆は個人的好き度、★はお奨め度。ただし赤はマイナス!)
2006年から新作順に並べ替え、DVD鑑賞作品も少し採り上げるようにしました。
お奨め度の目安
★…観るのはどうかな?★★…観たいというなら止めはしない★★★…普通に楽しめるかも
★★★★…出来れば観てね★★★★★…是非観て欲しい!
WMCSY:ワーナー・マイカル新百合ヶ丘/WMCT:ワーナー・マイカルつきみ野/T109GM:東急109グランベリーモール/
WMKN:ワーナー・マイカル港北ニュータウン他
| 2008年 | |
| 「地球が静止する日」 12/20 WMKN ☆☆☆★★★ (キアヌ・リーブスありきの企画ではないかと思えるほど、彼はハマっています。彼は「マトリックス」から、もう3度も人類を救っていることになります) |
地球外生物学者のヘレン・ベンソン博士はある夜、突然政府からの招集を受けます。そして、同様に連行された科学者たちと共に向かった場所で、政府の高官から彼女らは驚くべき事態を聞かされます。宇宙から地球に向かって高速で飛来する謎の物体があり、それはもうじきマンハッタンを直撃するというのです。 本作は1951年製作「The Day the Earth Stood Still」のリメイクですが、東西の緊張状態にあった当時の旧作では核問題を扱っていました。今作では環境問題に焦点を当てていますが、どうも問題をややこしくしている嫌いがあります。地球を救うために人類を○○するというわりに、宇宙人がとった方法は、人類以外の生物にも甚大な被害をもたらすんじゃないかと思うんですけれど…。それも警告なしに、いきなりはあんまりじゃないかと思いますよ。 確かに謎の球体や破壊シーンのVFXは見事で、アカデミー賞視覚効部門の候補に挙がったのも頷けます。ただ残念なことは、描かれるべき肝心のシーンが欠落していることです。球体の位置からして、当然○○○○○○の破壊シーンが観られると思ったのに…。そこが無いので、人類が○○する恐怖のドラマ的な盛り上がりに欠けて、今ひとつカタルシスを得られないんですね。 それに、そもそも何故(宇宙人)クラートゥが心変わりするのか、肝心な点がどうもあやふやで、よく分からないのです。まあ、宇宙人の考えることですから、我々地球人には計り知れない論理と考察があってのことかも知れませんけれど。 清水寺で発表された今年の漢字は「変」ということですが、この作品で描かれているテーマも「人類は変われるか?」ということです。果たして我々は「Yes、we can!」と胸を張って言えるでしょうか? |
| 「WALL・E」 12/6 T109GM ☆☆☆☆☆★★★★★ |
生のないものに生命を吹き込むことがアニメというならば、ピクサーは卓上ランプに生命を吹き込んだ時から、ずっとアニメに打ち込んできました。「WALL・E」は、そんなピクサーが新たに息を吹き込んだ、今までの集大成ともいうべき作品です。 人類がとうにいなくなった29世紀の地球で、ゴミ処理ロボットWALL・Eは、もう700年もたったひとりでゴミ片づけを続けていました。そこに、ある日天空から一台の宇宙船が舞い降りてきました。そして、その船から現れたのは、イヴという新型ロボットでした…。 今までピクサー作品で外れた物はひとつもありませんでしたが、今回も然りでした。相変わらずシナリオは完璧です。完璧すぎるのも、先が読めて詰まらないものですが、そこはピクサー。ひとつもふたつも捻りを入れています。それでも、ちゃんと収まるところに収める手腕もたいしたものです。 また、機械の擬人化も素晴らしく、ひとつひとつの細かい仕草にはホトホト感心させられます。主人公のWALL・Eの寄せ集めのようなデザインも楽しいですが、イヴの洗練された(ipodのように)流麗なデザインも素敵です。それに様々な脇役達のどれをとっても、アイデアが一杯詰まっていて、惚れ惚れします。すごいなあ〜! アンドリュー・スタントン監督は、この作品のことを、子どもの時に観て影響を受けたSF映画へのラブ・レターだというようなことを言っていましたが、その愛は充分伝わります。 劇場に行った時、私の後の席に5歳くらいの子どもが座っていました。映画が始まる前、親にしつこく話しかけていたので、ちょっと不安でした。でも、それは余計な心配でした。映画が始まるとすぐに静まりかえり、結局映画が終わるまで、私は後の子どものことなどすっかり忘れて、画面に集中することができました。さすがピクサーですね。 |
| 「僕らのミライへ逆回転」 12/1 WMKN ☆☆☆☆★★★★ (これを観ると、自分で映画を撮ってみたくなります) |
街角の古びたレンタルビデオ店の店長から店番を任されたマイクのもとに、友達のジェリーが遊びに来た。だが、ジェリーは発電所の事故で、全身に強い磁気を帯びていたから、さあ大変。彼が近づいたおかげで、店中のビデオの映像が消されてしまった。客からの苦情でその事を知ったふたりは、どうせ中身は知らないんだからと、ビデオカメラ片手に映画のお手軽リメイクを始めるのだった。
今や完全にDVDに席巻され、死語になりつつあるレンタルビデオ店ですが、ビデオテープだからこそ磁気で映像が消えてしまうし、ツメを戻せば録画を上書きできるというのがミソ。ともかく、勝手に映画をリメイクして貸しだそうというアイデアが面白く、しかもそのチープな作りにもかかわらず、映画に対する愛が感じられて微笑ましいです。 それに、リメイクする作品のチョイスがなかなか良いんですね。「ゴースト・バスターズ」(シガニー・ウィーヴァーも出ています!)に始まり、「ラッシュアワー2」(あえて「2」を選ぶところがニクイ!)「2001年宇宙の旅」に「ロボコップ」「ドライビングMissデイジー」「キャリー」「ラストタンゴ・イン・パリ」「メン・イン・ブラック」「キング・コング」(主演のジャック・ブラックはピーター・ジャクソン版リメイクに出ていましたね)「シェルブールの雨傘」「ライオン・キング」(アニメも!)…といった具合。これらを一体どうやってリメイクしたのか?その半ば強引で大胆なアイデアときたら、まさに脱帽ものです。 ここに描かれているのは、ハリウッド映画のビッグ・バジェットに対する皮肉であり、映画作り本来の楽しさとは何かという問いかけなのですが、それにしてはラストの一抹の寂しさが気に掛かります。やはりリメイクとはいえ、映画の知的財産は守らなければなりませんし、この辺りが難しところでしょうか。 それにしても、この邦題はいかがなものでしょう?原題の「BE KIND REWIND」は、ビデオレンタル店がテープの返却時の注意書きとして使う常套句で、「(返却の際は)テープの巻き戻しをよろしく」といった意味です。たしかにこの邦題は難しかったでしょうが、それにしてもこれではまるで青春ドラマかタイムトラベル物ですよ。とはいえ、良い代案も思いつきませんけど…。 |
| 「D-WARSディー・ウォーズ」 12/1 WMKN ☆☆☆★ (VFXはゲーム並ですが、見られるところもありますし、一応怪獣映画ですので☆ひとつオマケ) |
わたしは基本的に怪獣映画が好きです。モンスターが出る映画なら、どんな映画でも、愛情を持って観ることにしています。ですから、どんなに前評判が悪くても、この映画を観に行くことに決めたのでした。 突如ロサンゼルスを襲った地殻変動の現場を訪れたTVレポーターのイーサンは、そこで大きな鱗のような物を発見する。そして、それを見たイーサンの脳裏に、子どもの頃骨董屋で聞いた、韓国の伝説が甦った。それは500年に一度くり返されるという、善と悪の大蛇の戦いにまつわる伝説で、その戦いが今度はこのロサンゼルスで再現されると知った彼は、「ヨイジュ」と呼ばれる特別の力を宿した少女の生まれ変わりを探すのだった…。 たしかにVFXは凄い(ところもある)…かもしれないし、色々なモンスターがうじゃうじゃ出てきて、楽しい…かもしれないですが。始めにVFXありきで、物語は二の次という作り方はどうなんでしょうか? ともかく、わたしはこの物語についていけませんでした。例えば、地殻変動の現場で見つかった鱗のような物体について、主人公と物体を調査している鑑識との会話です。 「この世で一番硬い物質は?」 「そりゃ、ダイヤモンドだろう」 「これは有機物だ」 ちょっと待てい!話が全然噛み合ってないじゃないか! …という具合に、一事が万事、この調子なのです。 そもそも、韓国伝説の大蛇が何故ロスで甦るのか?さっぱり分かりません。FBIはどうやって大蛇の棲む洞窟を見つけたのか?そして、洞窟に向かった隊員が全滅させられたのに、何故そのまま放置しているのか?さっぱり分かりません。突然現れたモンスター軍団は、一体何を目指して行軍しているのか?さっぱり分かりません。大体、モンスター軍団の存在理由自体が、さっぱり分からないのです。 このように、理由も意味も不明のまま、なんの脈絡もなく物語は進んでいき、何だか釈然としないままラストを迎えます。この作品が韓国で大ヒットしたというのですが、その理由がさっぱり分かりません。 |
| 「レッドクリフ」 11/22 T109GM ☆☆☆☆★★★★ (ともかく、来年春の「Part2」が今から待ち遠しいです ) |
「レッドクリフ」は三国志の赤壁の戦いを描いた作品なのですが、三国志といえば名前も読みづらい登場人物がたくさん出てくるし、長い原作読むのも大変だし、敷居が高いと思ったら大間違いですよ。この「レッドクリフ」はとにかく分かりやすくできていますので、三国志初心者でも安心してご覧になれます。 冒頭に簡単な背景説明はあるし、主要人物が登場するたびに名前が大きめの字幕で出るし、しかも漢字にはルビがふってあるし、配給会社も余程気を遣ったのでしょう。勢い余って、「民」にまでルビふるのはやりすぎですが、それにしてもこの親切設計には逆に驚かされました。 お話の方も必要な要素は逃さず、非常に上手く簡潔にまとてあって、主要キャラにはそれぞれ見せ場を用意して充分立たせてあるし、実に見事な出来映えと言えるでしょう。 特に、小喬をトロイのヘレンに見立てて曹操の動機付けとしたり、さらにお抱えの踊り子に小喬のコスプレをさせるなど、曹操の偏執的なキャラを際立たせています。 もちろん、関羽や張飛、趙雲といった各武将達の一騎当千の活躍も見物ですが、中村獅童の甘興ひとりがワイヤー・アクションを多用していて、これが意外と目をひきます。また、周瑜と孔明が琴を合奏するシーンなど、互いの危ない視線が交差して、見ていてゾクゾクするほどです。それに、孫権の妹尚香の秘技がなかなかの曲者で、とても良い味を出しています。 まだ「Part1」ですので明言はできませんが、ジョン・ウーの最高傑作になるであろう、そんな期待をさせる作品です。 |
| 「イーグル・アイ」 11/1 ☆☆☆☆★★★★ T109GM (主人公達が途中立ち寄るビデオ店の店頭には、同監督の前作「ディスタービア」のDVDがちゃっかり並べてありました) |
最近の映画はスピーディーだし、一画面に込められた情報量は多いしで、画面の隅々にまで目を配って観ていると疲れて仕方ないです。これも歳のせいでしょうかね。ともかく、今日は大事を取って一本だけ観ることにしましたが、これがもの凄く濃密な内容で、見終わってホトホト疲れ切ってしまいました。 「イーグル・アイ」は予告編を観た時から、「知りすぎていた男」や「北北西に進路を取れ」のような巻き込まれ型サスペンス映画を予想していたのですが、予想に違わずシチュエーションは往年のヒッチコック作品から明らかにインスパイアされたものでしょう。確かに前述2つの映画の見せ場が巧みに盛り込まれていて、ヒッチコック・ファンならずとも思わずニヤリとさせられます。でも、監督のD・J・カルーソ監督はヒッチコック・スタイルの演出は行わず、怒濤のアクション映画に作り変えてしまいました。それが彼のスタイルなのでしょうし、今風なのでしょう。 でも、この肝心のアクション・シーンがどうも私にはいただけません。アップのシーンが多くて、しかも暗がりで、何がどうなっているのかよく分からないんですね。この辺ダメ監督でもマイケル・ベイだったら、もっと分かりやすく退いた絵で見せてくれるはずなんですがね。そこがどうも残念でなりません。 ともかく脚本家が4人も関わっているだけのことはあり、これでもかと色々なアイデアが詰まっています。それが濃密な画面に反映されていて、次から次へとたたみ掛けるアクションで見せていく構成は、観る者を決して飽きさせません。ただ見せ方が今ひとつ不親切な気がしますが、それでも観客を強引に引っ張っていくD・J・カルーソー監督の手腕はさすがと言うべきでしょうか。 私としては、やはりヒッチコックのウィットに富んだ会話やユーモアのセンスが欲しい気もしますが。 |
| 「ウォンテッド」 10/1 WMKN ☆☆☆☆☆★★★★ |
「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」の新感覚映像で我々を驚かせたロシアのティムール・ベクマンベトフ監督が初めてハリウッドと手を組んで撮った新作です。やはりハリウッドはこの才能を見逃さなかったかと感慨深いものがありますが、ハリウッドの波に呑まれて才能を潰されるのではという一抹の不安もありました。が、それはいらぬ心配。ロシア土着の泥臭い感覚と洗練されたVFXがよくマッチして、更なる映像進化を遂げたのでした。 ともかく冒頭からもの凄いアクションの連発で、度肝を抜かれます。物理法則を完全に無視したこの動き。これをマトリックスの世界でなく現実世界の人間がやっているかと思うと、もう、アクションが凄すぎて笑っちゃいます。でも、主人公が鍛錬を受ける様が丹念に描かれる中で、次第に「出来るかも?」と納得させられちゃうんですね。そして一旦この世界を受け入れると、後はどんな超絶アクションが展開されようと、少しも違和感なく観られちゃうんです。シナリオ的にはおかしなところだらけですが、こういう映像を見せられると、やっぱり「映画は映像だ!」と思ってしまうんですね。この映像にはそれ位のインパクトがあります。ある意味、映画の壁を破ったかも知れません。これがOKなら、何でもOKになってしまう。これからの映画の将来を左右する、そんな力を感じました。 その力に大きく貢献しているのが、アンジェリーナ・ジョリーの存在でしょう。やはり大スターの彼女がやるからこそ、どんな嘘も許されるのです。「ウォンテッド」は、まさに彼女の存在無しでは語れません。ですから「ウォンテッド2」に彼女が再び登場することも当然と言えます。もっとも、お話的にはかなりの無理がありますが…。 ところで、劇中「1を倒して、1000を救う」という言葉が出てきますが、どう見ても罪のない人々を1000人以上倒しているのが気になりました。因みに「デイ・ウォッチ」の続編「ダスク・ウォッチ」は一体いつになったら出来るのでしょうか? |
| 「アイアンマン」 10/1 WMKN ☆☆☆★★★ |
「ウォンテッド」にも言えることですが、小さな嘘を丹念に描き、それを積み重ねることによって、どんなに大きな嘘も観客に納得させられるようになるのです。「アイアンマン」では、主人公がプロトタイプのアイアンマンを作り上げるところから、いかに改良を加え、試行錯誤をくり返したかが、詳細なメカと共に丹念に描かれています。ミサイルの頭部を改良して作られたから、アイアンマンのマスクがあんな形になったとか、飛行バランスをとるのにどんなに苦労したかとかが、実に細かく描写されるのです。ですから、当初、身体に入りこんだ金属片が心臓に行かないように付けられた電磁コイルが、途中から謎の人工心臓アーク・リアクターにすり替わろうと、丹念に描かれた製作工程の中に埋没して、少しも気になりません。いや、むしろこの製造過程が大きな説得力を持って後押しをしているのです。 ともあれ、「アイアンマン」は今までのスーパー・ヒーロー物の中でも、細部に拘ったキャラクター作りが出色で、メカ好きはもとより、メカに疎い人にも馴染みやすい作品に仕上がっています。でも、なんでこの作品が米国で3億ドルを超える興行収入を上げたのかは理解しがたいものがあります。 因みに「スパイダーマン」にも「Xメン」にも「インクレディブル・ハルク」にもカメオ出演していた原作者のスタン・リーが初めて本人の役で登場します。またエンドクレジットの後には、アメコミファンが驚喜するようなオマケ・シーンがあります。ついにあれが始動するんですね…。 |
| 「ハンコック」 9/1 WMKN ☆☆☆★★★ |
飲んだくれで嫌われ者のスーパー・ヒーローの再生の物語です。ハンコックがスーパー・ヒーローとして自覚し始める前半部は大変面白いのですが、ハンコックの謎が解け始めてからの取って付けたような後半部になると雲行きが怪しくなってきます。出来の悪さにもかかわらず、楽しく観れてしまうところが困ったところです。 |
| 「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン」 9/1 WMKN ☆☆☆☆★★★ |
「ショーン・オブ・ザ・デッド」でその才気を遺憾なく発揮し、「グラインドハウス」のフェイク予告編「ドント」で観客を沸かせてくれたエドガー・ライト監督の最新作です。本来なら日本ではDVDスルーになるところを、熱狂的なファンの投書のおかげでなんとか劇場公開に漕ぎつけたのだそうで、ワーナー・マイカルでも巡演が決まり、おかげでようやく私も近所のシネコンで観ることが出来ました。単純に刑事物のパロディーと括るわけにはいけません。相変わらずキレのあるカット割りと、英国らしいアイロニーたっぷりの捻りのきいたギャグも冴え渡っています。好き嫌いがハッキリ分かれそうですが、私は楽しく観ることが出来ました。 |
「ダークナイト」 8/16 T109GM ☆☆☆☆☆★★★ |
凄い映画です。並の映画2〜3本のボリュームに綿密なシナリオといい、どうやったらこんな映画が作れるのか分かりません。しかしながら、バットマンは何故こんなにもストイックなんだろう?自虐的とも言えるバットマンに対して自由奔放なジョーカーのなんと魅力的なことか。敢えて自らを闇に投じ、仲間を失い、警察に追われ、市民の反感を買い、主役の座までジョーカーに奪われ、恋人の愛まで得られずに走り去るバットマンの後ろ姿には、涙を禁じ得ません。世界の警察を自認し、自由と平和を守るために世界各地でテロリストたちを懲らしめているのに、世界から反感を買っている米国の姿こそダークナイトそのものとでも言いたげな内容に、米国では共感を呼び大ヒットしました。 |
| 「ハムナプトラ3」 8/16 T109GM ☆☆☆★★ |
3は中国が舞台です。ともかくレイチェル・ワイズの交代が納得できないし、間違いなく大きな痛手となっています。いけ好かない息子にも感情移入できないし、肝心のジェット・リーも生身では活躍しないし、もう何を拠に観たらいいのでしょうかっていう感じです。だいたい「ハムナプトラ」なんて全然関係ないでしょうが…。 |
| 「崖の上のポニョ」 8/1 (T109GM) ☆☆☆★★★ (パンフレットの説明を読まなければ分からない設定って…どうなのかな?) |
この作品は恐らく、三鷹の森ジブリ美術館で随時公開されている短編アニメ「くじらとり」の延長にあるのでしょう。「くじらとり」は幼稚園の園児が積み木の船に乗ってくじら獲りに出かける童話で、実験的な手描きアニメの秀作です。短編アニメとしては素晴らしいのですが、同じ手法で劇場用長編アニメを作るとなると、そこには大変なギャップが生じます。果たして、宮崎駿監督はその溝を埋めることが出来たのでしょうか?(因みに、「…ポニョ」のスタッフ・ロールの表記方法は「くじらとり」と同じです) 結論として、様々な要素を取り込んだために、何とも収まりの悪いものになってしまったように思います。本来なら終始子供の視点で進めるべきところが、時々大人の視点に移るために、観客が拠とする視点を掴むことを阻害しているように思います。また、5才の子供の視点と大人の視点では物事の解釈に大きな開きがありますが、この作品ではその差が曖昧になっているのです。それを象徴するかのように、主人公の少年は両親を名前で呼び捨てにしますし、ポニョもデボン紀の生物を学名で呼んだりします。その結果、観客に大きな戸惑いと混乱を招くことになりました。いつものことですが…。 ともあれ、単純にアニメとしては、海の描写や子供の細かい表情など、大変素晴らしいシーンも多々あります。継ぎ接ぎだらけのシナリオや穴だらけのストーリーを気にしなければ、観るべき所も多い作品だと言えるでしょう。 |
| 「インクレディブル・ハルク」 8/1 (T109GM) ☆☆☆☆★★★ (折角だから最後の対決にもグレーシー柔術を生かして欲しかったです) |
前作アン・リー版の情け無い「ハルク」は無かったことにして、本来の「ハルク」をアクション中心に描いた新版「ハルク」の誕生です。緑の大男ハルクを3DCGで大いに暴れさせるため、人間ブルース・バナーの葛藤部分を演技派のエドワード・ノートンに任せたのは正解で、作品をよりシリアスで深みのあるものにしています。 また、アクションに定評のあるルイ・レテリエ監督の手腕には確かなものがあり、CG技術の向上も相まって、驚くようなアクションシーンを作り上げています。これなら原作ファンも納得の出来でしょう。 今回キャストが一新されましたが、TV版ハルクを演じていたルー・フェリグノだけが、前作と同じ大学の守衛役で出ています。もちろん、原作者のスタン・リーはブルースの血液の入ったジュースを飲んで倒れるおじさん役でカメオ出演しています。また、ヒクソン・グレーシーがブルースに柔術の呼吸法を伝授する役で登場します。そして最後には驚くような人物が登場して、驚くような発言をします。彼らがレストラン「スタンリー」で一堂に会する日がやって来るのかと思うと、どうしても胸が高まります。 |
| 「カンフー・パンダ」 8/1 (T109GM) ☆☆☆☆☆★★★★ (パンダらしい戦いっぷりに、思わず納得!) |
まず、冒頭の2Dアニメからして素晴らしいんですね。このまま2Dで続けてくれても良いんじゃないかと思ってしまう程です。3Dアニメなのに、この様に2Dもちゃんと大事に描いてくれるところに、スタッフの技術的な底力とアニメに対する熱意を感じます。 そして何より、シナリオが素晴らしいです。劇中の様々なエピソードが伏線となって最後のクライマックスにしっかり結実し、ラストに昇華される構成が見事です。こういうシナリオを見せられると、どうしても日本アニメにおけるシナリオの脆弱さが気になって仕方ありません。今はジャパニメーションともてはやされていても、肝心のシナリオを疎かにしているようでは、いずれは衰退の一途を辿るような気がしてなりません。 それに、キャラクターの配分がこれまた見事です。メタボのパンダに龍の戦士をやらせるところもニクイですが、最も勇猛果敢なマスター・タイガーの声にアンジョリーナ・ジョリーのセクシー・ボイスを配するとか、小さな蟷螂に重い荷を持たせるとか、キャラの対比を実に上手く生かしていると思います。 それと…、カンフーを扱った作品だけに、カンフーをアニメでどう描写するかが気になるところですが、これが実に本格的なもので驚かされました。特に鶴・蛇・猿・蟷螂・虎のマスター・ファイブは、それぞれの特徴を上手く反映した拳法を披露してくれますし、色々な訓練具や経絡秘孔突きなど、カンフー映画を良く研究しているなと感心させられます。聞けば、カンフーアクションについては、声でも出演しているジャッキー・チェンのお墨付きをもらったそうです。 ギャグ満載の中に教訓も交え、大人も子供も楽しめる、誰にでも安心して勧められる作品と言えるでしょう。 |
| 「スピード・レーサー」 7/5 (WMKN) ☆☆☆☆★★★ (やっぱり日本語の主題歌が流れると胸が熱くなります。ウォシャウスキー兄弟のアニメオタクぶりは尋常じゃありません) |
極彩色の世界に目まぐるしく飛び交う光りのシャワー。もう、何て言うんですか、凄いですねえ。なんでここまでと思うくらいに、画面に詰め込まれた情報量が半端じゃありません。ひとつのシーンで4つも5つも情報を重ねていますから、とても把握できたもんじゃありません。ウォシャウスキー兄弟が「マトリックス」を越える映像革命を起こそうと挑んだ「スピード・レーサー」は、まさにCGの万華鏡でした。「シン・シティ」や「300」に触発されたのでしょうが、それにしてもこれはやり過ぎで、観る者を生理的に拒絶しかねません。ここまでやると、「マッハGoGoGo!」の実写化というより、CG映像化と言うべきでしょうね。 とは言え、凄いことは凄いんですよ、これが…。漫画的とも言える演出も、見方を変えれば功を奏していて、驚くほど効果的だったりします。例えば過去の出来事を紹介しつつ、現在の出来事を色々な視点で描ききってみせる手腕には舌を巻きます。こんなに沢山の情報を数秒で表現するなんて、まさに驚異と言わざるを得ませんが、これについていく観客の身も考えて欲しいですね。それも、全編に渡ってこの調子ですから、観ている方はたまったもんじゃありませんよ。いや〜、疲れたぁ! ちなみに、劇中登場する、変な日本語を喋るアニメはG・ダロウ君の作品です。主人公の家の壁にも彼の絵が飾られていました。ついでに言えば、冒頭のシーンに登場するパラパラ・アニメは彼の娘が描いたそうです。 |
| 「ミラクル7号」 7/1 (WMKN) ☆☆☆★★★ (このキャスティングは凄い!これが出来たら、恐い物無しです) |
もうチャウ・シンチーってば、お茶目なんだから〜。主人公の男の子役のシュー・チャオは女の子だし、いじめっ子の男の子役も女の子だし、その用心棒役の巨漢は女だし、更に巨大な女の子役はプロレスラーだし、もうキャストからして破天荒。何でも有りの世界なんですね。宇宙からやって来た「ナナちゃん」に至っては、見るからにぬいぐるみそのもの。そこで繰り広げられるベタなギャグの数々に笑えるかが評価の分かれ目となりそうですが、まあ、お子様映画ということで、広い心で観てやってください。 ともあれ、主役のシュー・チャオの表情豊かさには感心しました。それに、お父さん達にはキティ・チャン(冗談みたいな名前ですが…)が目の保養になるでしょうね。 |
| 「アフター・スクール」 7/1 (WMKN) ☆☆☆☆★★★ (後から考えると、北沢に付き合う神野の行動はおかしいと思います。余程人が良すぎるのか?案外危険が好みなのか?教師の血が騒ぐのか?) |
「運命じゃない人」を脚本監督した内田けんじの新作と聞いて、一筋縄には行かないと思っていたのですが、またしても上手いこと欺されてしまいました。でも、よく考えてみると、少々脚本に綻びが見え隠れします。脚本を複雑にした分、「運命じゃない人」のような分かりやすさが無くなったことも、物語に引き込まれない要因になっている様に思います。上手いとは思いますが、どうもねえ。 それに、台詞の一言が伏線になっているなんて、昨今のTV文化に慣れ親しんだ若者達に分かるはず無いじゃないですか。私はこういうの嫌いじゃないけれど、一般ウケはしないだろうなあ。 |
| 「インディ・ジョーンズ:クリスタル・スカルの王国」 6/14 (WMKN) ☆☆☆☆★★★★ (ディズニーランドに新しいアトラクションが出来るかも?) |
時は「最後の聖戦」から19年後の1950年代。スピルバーグもルーカスもマチネでB級SFやパラマウントの冒険活劇やらを観て、歓喜していた時代です。今回のインディ・ジョーンズには、そんなふたりの思いが詰まっています。 冒頭のキノコ雲に髑髏が映し出されていないのは、やはり諸般の事情でしょうか?とても良いアイデアだと思ったのですが、ここが如何にも惜しいなあ。ラストは賛否両論ありましょうが、流れ的にはやはりアレを出さずにはいられないでしょうね。むしろ、アレのデザインが気になりました。どうせなら、ナスカの地上絵とか絡めれば良いのに…。 インディ・ジョーンズといえばやはりハリソン・フォード。老骨に鞭打って頑張っています。この分ならまだまだ行けそうですね。 |
| 「スカイ・クロラ」 6/12 (ワーナー試写室) ☆☆☆☆★★★ (戦闘機乗りの話にしては、意外と空の描写が淡泊で、その手のファンにとっては物足りないかも?) |
押井守監督久々の長編アニメ作品です。 舞台は別の世界の地球。束の間の平和を維持するために、ショーとしての戦争を必要とし、TVで観戦することでしか平和を実感することのできない大人達の時代。キルドレという思春期のままの姿で戦闘に駆り出される新人類がいた。…ということは劇中では殆ど説明がありません。 ともかく、そういう奇妙な世界での話。ある時、欧州の前線基地にひとりの飛行機乗りが配属されてくる。彼はキルドレで思春期の姿のまま歳をとらず、戦闘で死ぬまで生き続ける運命を背負った新人類であった。前線基地には彼と同じキルドレの戦闘機乗りが3人いて、基地の司令官も以前は女性エース・パイロットのキルドレの一人だった。だが、何故か彼の前任パイロットについては誰も語ろうとしなかった…。 作品の舞台はSF的でありますが、ただひたすら主人公の日常を淡々と描写していきます。その日常の会話の中から舞台背景や決して越えられない思春期の若者の焦燥感といったものを探り出すといった趣向の作品です。ですから、爽快なスカイ・アクションや娯楽作を期待すると肩すかしを食らってしまいます。実際クライマックスも非常に淡々と進み、意外にあっけなく終わってしまいます。 でも、面白くないかというと、これが実に面白いんですね。押井監督独特の語り口が知的好奇心をくすぐり、なかなか味わい深い作品に仕上がっています。こんなアニメ、他では決して拝めないでしょう。ですから、これも日本アニメのひとつの到達点と言って差し支えないのではないでしょうか。 |
| 「ザ・マジックアワー」 6/10 (T109GM) ☆☆☆★★★ (結局、豪華なセットだけは素晴らしい!) |
三谷幸喜監督の作品は嫌いじゃないですが、それ程好きだというワケでもありません。傑作というのはおこがましいですが、彼の過去の作品ではやっぱり「ラヂオの時間」が最高作ではないでしょうか。その三谷幸喜監督の最高傑作という謳い文句に釣られて観たわけですが、果たして…? どこかレトロな雰囲気の漂う、映画のセットのような港町「守加護」。町を牛耳るボス天塩の愛人マリに手を出して捕まった備後は苦し紛れに伝説の殺し屋「デラ富樫」の知り合いだと嘘を言う。「デラ富樫」を尊敬するボスは、5日以内に連れて来ることを条件に備後を放免するが、さすが伝説の殺し屋だけあって、何処を探しても一向に見つからない。そこで備後は売れない俳優村田大樹に映画を撮ると偽り、デラ富樫に仕立てて、天塩の事務所に連れて行くのだった…。 マジックアワーとは昼と夜の間の「逢魔が時」のこと。それは現実と虚構=映画の狭間。全ての映画人が憧れる至福の一時。というわけで、虚実入り乱れての大騒動が、過去の様々な作品に対するオマージュやパロデイを込めて繰り広げられます。なんか面白そうでしょ?カメオ出演のゲスト陣も豪華です。あんな人やこんな人がちょい役で現れては消えていきます。これも三谷幸喜監督の人徳の成せる技なのでしょう。でも、それらの豪華なゲストを生かし切っているかというと全くそんなこともなく、ただ浪費しているだけで終わります。 肝心のクライマックスに至っては、サジを投げたというか、もう滅茶苦茶で(といって、無茶苦茶が悪いわけではないですが…)、結末も有耶無耶にされた感が残り、どうもシナリオ的に釈然としません。練り込みが足りないというか、首尾一貫性がないというか、物足り無さの残る残念な仕上がりと言わざるを得ません。 最後に笑うのは観客か?いえ、監督でしょう…か? |
| 「ナルニア国物語第2章:カスピアン王子の角笛」 6/10 (T109GM) ☆☆☆☆★★★★ (考えてみると、結構殺伐とした内容のファンタジーですが…) |
ナルニア国物語の続きです。カスピアン王子の角笛に導かれ、再びナルニア国へやって来たペベンシー4兄妹。だが城は朽ち果て、そこでは既に1300年の年月が過ぎていた。そして、ナルニアの大地はテルマール人に征服されていた…。 LOTRのレゴラス並に活躍するスーザン。敵の大将と果敢に戦うピーター。でも、彼らが殺傷する相手は怪物でも妖怪でもなく、紛れもなく人間です。その点がどうしても気になり、子供を主人公にしたファンタジーの限界を感じてしまいます。 ともあれ、今回の作品はすこぶる出来が良いように思います。VFXも見事で、テルマール軍とナルニア軍の攻防シーンなど非常に手に汗握る仕上がりになっていますし、精霊達の描写も未だかつて無い程の素晴らしさです。加えてオールCG製作によるキャラクターも多数登場し、特にリーピチープなど、実写キャラに負けない程の魅力と存在感を放っています。 とはいえ、今回最大の売りはなんと言ってもカスピアン王子役のベン・バーンズでしょう。どこから見てもいかにも王子様という彼が、主役の4兄妹を完全に食っています。しかし、彼が本領を発揮するのは次回作になる模様です。 |
| 「紀元前1万年:10,000BC」 5/1 (WMKN) ☆☆☆★★★ |
時は紀元前1万年。山奥に住むヤガル族の若きハンター、デレーの前にある日青い目をした美少女エバレットが現れる。親もなく部族内で孤立していたふたりは互いに惹かれあうようになっていったが、一方、部族の巫母はエバレットに部族の未来がかかっていると預言するのだった。やがて立派な青年に成長したデレーはマナク狩りの儀式に勝利し、エバレットを妻に迎える。だがその直後、突如村を襲った四本脚の悪魔たちに、エバレットが掠われてしまった…。 ローランド・エメリッヒの作品だから、どうせ荒削りの大雑把な作品だろうと思っていましたが、期待に違わず、やっぱりその通りの作品でした。だいたい英語を喋る鼻筋の通った二枚目顔で、これのどこが起源前1万年の人類なのか?細かい装飾品や巨大な網なんて作る文化があったのか?「アポカリプト」の方がよっぽどそれっぽいですよ。子供から大人まで多くの観客を意識しての作りなんでしょうが、一万年以上前の人から人生哲学を聞かされては、やっぱり興ざめしてしまいます。 しかし、映像は流石に凄いです。建造中の巨大ピラミッドの上を駆けめぐるマンモスの群れと逃げまどう群衆なんて、ホントに凄いスペクタクル・シーンです。サーベルタイガーは今ひとつの出来ですが、恐鳥はホントに怖いです。ともかく、マンモスの群れだけでも大画面のスクリーンで観る価値はありそうです。 にしても、ピラミッドについては、相変わらずの解釈なんですね…? |
| 「スパイダーウィックの謎」 5/1 (WMKN) ☆☆☆☆★★★★ |
4人の家族が森の古びた屋敷に越してきた。ジャレッドとサイモンの双子の兄弟と姉のマロリーに母親のヘレンだった。冒険心溢れるジャレッドはひょんなことから屋根裏部屋を見つけ、そこで一冊の封印されたノートを手に入れる。それは大大叔父のアーサー・スパイダーウィックが記した妖精の秘密書で、表紙には「決して読んではいけない」という警告のメモが挟まれていた。だが、読むなと言われれば読みたくなるのが人情。好奇心に負けたジャレッドは、その夜こっそりとノートの封印を解き、中を読んでしまうのだった…。 ともかくフィル・ティペットとILMが作りだした妖精たちがわんさか出て来て、妖怪妖精好きとしては大変楽しめました。造形は原作画家トニー・ティテルリッジのデザインを元に作られているとのことですが、ブライアン・フラウドの影響を強く感じます。お話も狭い範囲に限定されていて大変分かりやすく、上手くまとまっていると思います。その意味で、子供から大人まで楽しめる作品になっていますが、そつの無い作りが逆にファンタジー映画に食傷気味の観客からは敬遠されそうです。 双子の兄弟役をフレディ・ハイモアが好演しているのですが、あまりに自然なので、しばらくの間、もうひとりを演じているソックリさんは誰だろうと思って観ていました。二役の合成にも全く違和感が無く、これにはビックリです。 |
| 「ネクスト」 5/1 (WMKN) ☆☆☆★★ |
ラスベガスのクラブでマジックショーを披露しているクリス(芸名フランク・キャデラック)には、実は2分先が見えるという超能力があった。ある日、その能力に目を付けたFBI捜査官が彼の前に現れて、ある重大事件の捜査への協力を要請する。だが、彼の能力に目を付けたのはFBIだけではなかった…。
この作品のキモは、2分先が見えるという限定されたルールにあります。2分先が見えるからこそ危機を回避出来るし、敵を出し抜けるというのが面白いのです。しかし、2分先しか見れないということは、FBI捜査官が依頼する事件の捜査には到底応えられないように思えます。ここがまず納得できません。 そして物語が進むと、何故か急に2分のリミッターが外れ、あんなことやこんなことまで出来るようになってしまうのです。こうなると観客は完全に蚊帳の外に置かれ、ただ呆然と事態の推移を見守るだけになってしまいます。が、ある意味斬新なラストに、なんと結局納得させられてしまいましたよ。でも、これで良いのかなあ?ニコラス・ケイジやジュリアン・ムーアが出演する映画と聞いて、トンデモ作品の匂いがしていたんですけどね…。 「フランク・キャデラック」の名前の由来とか、製作にも関わっているニコラス・ケイジの趣味が反映されているようで微笑ましかったです。にしても、劇中ちょい役で出演しているアリス・キムって、ニコラス・ケイジの新しい奥さんでしょうか? |
| 「クローバーフィールド」 4/5 (WMKN) ☆☆☆☆☆★★★★ (大画面で体験することに意義があります) |
この映画は、ロブ・ホーキンス所有のビデオカメラに収められた映像をそのまま上映するという形を採っています。ですから、多少の手ぶれや映像の乱れに関してはご容赦願います。映像の内容は、マンハッタン島に上陸したアレに関するもので、事件に巻き込まれた一市民の目を通して、逃げまどう市民の姿や、アレに果敢に立ち向かう人々の姿の他、アレの実体に迫る貴重な映像も含まれています。 なにぶんパンフレットも封印されているので、内容については殆ど書くことができませんが、ともかく、これ程エキサイティングで、臨場感溢れる作品には滅多にお目に掛かれないでしょう。 ビデオカメラに収められた映像という形は採っていますが、シナリオも構成も演出も映像も一級品です。特に怪獣ファンの方は絶対に見逃してはいけない作品だと思います。まずはともあれ、映画館へGO! |
| 「魔法にかけられて」 3/20 (T109GM) ☆☆☆☆★★★★ (この結末は果たしてハッピーエンドなのだろうか?) |
魔法の王国アンダレーシアの森に住むジゼルは、いつか運命の王子様が現れて、「真実の愛の口づけ」で結ばれることを夢見ていました。そんな彼女の前に現れたのが、白馬に乗ったエドワード王子です。ふたりの目と目が合うと、当然のように一瞬で恋に落ち、早速翌朝には結婚することにと、話はとんとん拍子に進みます。ところが、ふたりの結婚で王位を奪われるのを恐れたナリッサ女王の策略で、ジゼルは魔法の王国から追放されてしまいました。そして、追放されたジゼルの行き着いた先は、なんと現代のニューヨークだったのです。 言わば、アニメの世界から現実世界にやって来たお姫様の奮戦記という趣向のこの映画。これまでにもアニメと実写を融合した作品は数々ありましたが、この作品では、魔法の王国アンダレーシアは2Dアニメ、現代のニューヨークは実写という具合に、完全に住み分けされています。むしろ、実写部分では3DCGが幅を効かせ、今のディズニーの実情を反映させている感もあって非常に興味深い作品でした。 ともかく、冒頭の伝統的2Dセルアニメが素晴らしく、ディズニーの面目躍如と言える出来に感激すると共に、実写部分のミュージカルにもさすがディズニーと感心させられことしきりです。でも、手放しで喜んでばかりはいられません。過去のディズニー作品の自虐的とも思えるパロディのオンパレードには腹を抱えて笑うしかないのですが、「この先ディズニーは何処に向かおうとしているのか?」と、一抹の不安を覚えてしまいます。過去の作品にオマージュを捧げているようで、食いつぶしているようにも見えなくもないということです。 それと、お姫様の視点で観る分には良いのですが、他の視点で観ると何だか解せないことが多いのです。何しろ女王の行動が理解できません。ジゼルを追放した後に何故井戸を封鎖しなかったのか?とか、何故飛べないドラゴンに変身したのか?とか、何故ロバートを掴んだのかとか…。それに、ナサニエルが何故心変わりしたのかが、今ひとつハッキリしません。エドワード王子に至っては、天然なのか、心底非常に良い人なのか分かりませんが、ともかく(ネタバレになるので言えませんが)行動が理解不能なのです。これって、どうなのかなと思うのですが、観ている分には楽しいので、まあ良いか…。 |
| 「ジャンパー」 3/1 (WMKN) ☆☆☆★★★ (いかにも続編を意識した作りですが、果たして続編は作られるのでしょうか?) |
テレポーテーション(瞬間移動)能力を持つ若者の物語を、スピーディーなアクションでテンポ良く見せるSFアクション映画です。主人公の若者は子供の頃、ある事故がきっかけでテレポーテーション能力に目覚めます。このあたりが面白く、どうやらテレポーテーションする時、自分の近くの物も同時に運ぶようだとか、どういう場合にテレポーテーション出来るのか?とか、目的の場所を決める方法は?とか、少しずつ分かっていく過程が手際よく説明されていきます。それにしても、なんでいつも図書室に行くのか?きっと、書棚にヒントがあるのでしょうね。 彼のテレポーテーション能力には限界がないようで、世界中どこでも好きな場所に瞬時に移動できるから凄いですね。スフィンクスの頭の上でティータイムを楽しむなんて、夢のようなことも出来てしまうんですから…。東京の銀座や渋谷に出没するのは、やっぱりマシ・オカの影響でしょうか? しかし、この「ジャンパー」は欲望のままにどんどん反社会的行為を重ねて、少しも悪びれないところから、次第に疑念が湧いてきます。これでは、非常にタチの悪い犯罪者と同じじゃないか。案の定、ジャンパーを狩る組織が現れ、今度は追われる立場に。その組織は悪として描かれているけれど、果たしてどちらが悪なのでしょうか?う〜ん、よく分かりません。 ともかく、ジャンパー狩り組織が登場してからは、話が俄然こじれ始め、謎が謎を呼ぶ展開になだれ込みます。で、一応の収拾はつくのですが、多くの謎が未回収のまま残されてしまいます。これって、最初からシリーズ化を念頭に作られたんでしょうかね。なんだか、TVドラマシリーズのプロモーションような作りなんですね。テレポーテーションは爽快なんですが、どうもスッキリしませんよ、まったく。 |
| 「アメリカン・ギャングスター」 2/1 (T109GM) ☆☆☆☆★★★ (ふたりの名優のガチンコ勝負が見ものです) |
ニューヨークのハーレムに君臨したギャングのボスがいました。「ハーレムのロビンフッド」と呼ばれ、人々から愛されたそのボスに15年付き添い、世渡りの全てを学んだのがフランク・ルーカスでした。彼はボスの亡き後、自らがハーレムのボスになろうと志します。そして巷にはびこる粗悪品の麻薬に目を付け、それに対抗すべく、東南アジアから純度100%の麻薬を直接買い付けることにしました。そして、その純度の高い麻薬を、市場に安く売ことにしたのです。当然彼の麻薬は売れに売れ、こうして彼は瞬く間に暗黒街のボスに成り上がって行ったのでした。 一方生真面目な警察官のリッチー・ロバーツは、ある事件の際手に入れた大金の着服を拒み、署内のみんなから煙たがれていました。 同僚達がワイロに手を出す中、彼だけはガンとして一切受け付けなかったのです。そして、そんな彼を見込んだ検察官から、麻薬捜査班の責任者にならないかという話が来たのでした。 このフランク・ルーカスを演じるのがデンゼル・ワシントン。片やリッチー・ロバーツを演じるラッセル・クロウ。この両者が火花を散らす迫真の演技が見所の「アメリカン・ギャングスター」は、リドリー・スコット監督初のギャング映画です。(「ブラック・レイン」はヤクザ映画です) 正義と悪との対決という構図になりがちのところを、二人の名優を配して、互いの信念と信念とのぶつかり合いという、心の葛藤として捉えた脚本が見事です。いつもながら、重厚な画面作りと見事なカット割りはさすがです。個人的には、特に音楽の使い方にしびれました。 実話を元にしているとは言え、麻薬捜査官の多くが賄賂を受け取っていたなんてことをバラしたもんだから、3人の元捜査官たちに訴えられているそうです。 |
| 「テラビシアにかける橋」 2/1 (T109GM) ☆☆☆☆☆★★★★ (大切にしたい作品です。) |
絵を描くことが好きな少年ジェスは、ひとり空想の世界に浸っていました。姉妹達に挟まれ言い争いの絶えない家庭でも、いじめの絶えない学校でも、自分の居場所が無かったからです。そんなある日、隣の家にレスリーという少女が引っ越してきました。レスリーの人並み外れた想像力と豊かな文章力に惹かれるジェスですが、レスリーもまたジェスの描く想像力溢れる絵の世界に惹かれました。こうして互いの才能を認め合ったふたりは意気投合し、家の近くの森にふたりだけの夢の王国「テラビシア」を創り始めるのです…。 予告編を観て、「ナルニア国物語」のような正統派ファンタジーを期待してはいけません。この作品はファンタジーというより、その源泉となる「想像力」について描かれた作品なのです。そして、それ以上に、ひとりの少年の抱える現実と憧れとの葛藤を瑞々しく描いた作品なのです。 物語は後半から大きな転機を迎え、俄然重々しい雰囲気に包まれて行きますが、そこがこの作品の一番訴えたいところなのでしょう。単なるファンタジー映画と思ったら大間違いです。辛い現実を乗り越えた想像の世界だからこそ感動があるのです。テラビシアにかける「橋」の意味を噛みしめると、自然と涙がこぼれてしまいますね。 印象的なシーンも多いです。足の速さが自慢のジェスを追い抜くレスリーの清々しいシーンとか、ロープにぶら下がりながら空を見上げるふたりの表情とか…、とにかく映像が奇麗で良いですね。テラビシアに登場する想像上の生き物たちも個性的で、一つ一つが生き生きとしていて感心しました。特に最後に登場する奴とか、感動物です。それと…巨人の顔を見て、思わずニンマリしてしまいますよ。 |
| 「ナショナル・トレジャー2」 1/1 (WMKN) ☆☆★★ (日本人には今ひとつピンと来ない題材です…) |
前作同様、米国の歴史上の人物や名所旧跡を絡めて、まさかという場所に膨大なお宝が眠っていたというお話です。なにしろ米国の歴史のことですから、日本人にはさっぱりです。まあこれが日本なら、差し詰め、聖徳太子が隠した巨額の財宝を、十七条の憲法に隠されたキーワードから大文字焼きの暗号を解いて見つけ出すみたいなところでしょうか。ですから、謎解きに関しては全くついて行けません。主人公達の謎解きにまかせて、ただ名所旧跡巡りを楽しむだけということになります。 …にしても、この主人公達はなんて目立たないキャラばかりなのだろう。脇を固める名優達の方がよっぽど輝いていて、どちらかというと、主人公の両親のサイドストーリーの方が観たい気がします。 |
| 「アイ・アム・レジェンド」 1/1 (WMKN) ☆☆☆★★★ (この手の映画では、最も出来の良い作品かも知れません。でも、2が出来るという噂が…) |
リチャード・マシスン原作「I Am Legend=吸血鬼=地球最後の男」の3度目の映画化です。今回の話は2度目に映画化された「地球最後の男オメガマン」(1971)に近い内容になっています。 謎のウィルスによって人類が絶滅した後、ニューヨークにたったひとり残された男は、闇の者たちの襲撃に怯えながらも、絶望の中に一筋の光明を求め、ある研究に勤しんでいた…。 ともかく、誰もいないニューヨークのVFXが凄いです。ニューヨーク摩天楼の俯瞰シーンがあるのですが、よく見ると建物ごとにビニールが被せられています。ウィルスに汚染された建物ごとにビニールで隔離していた跡なんですね。そういった細かい配慮が随所に観られます。中には「バットマン対スーパーマン」なんて看板もあります。恐らく殆どCGなのでしょうが、これ程精巧なデータがあるならば、これからもニューヨークを舞台にしたどんな映画も作れるのではないかと、希望が膨らんでしまいます。 映像の素晴らしさに引き替え、お話の方は今ひとつ盛り上がりに欠ける展開です。過去と現在をフラッシュバックさせて説明する方法はなかなか良いのですが、肝心の最後の決断の所でもう一押しが無いので、主人公の行動が今ひとつ分かりにくくなってしまっています。本来なら、もっと感動的なラストになるはずだったのに…と、残念に思います。 それにしても、犬も感染するのに、鹿やライオンが感染しなかったのは何故なんだろう…? |
| 2007年 | |
| 「AVP2(エイリアンズVS.プレデター)」 12/28 (WMKN) ☆☆☆★★ (もっと他の監督に撮らせる方法もあったろうに…、良い素材がもったいない!) |
「AVP(エイリアンVS.プレデター)」の続編です。エイリアンは他種生命体の体内に寄生し、その遺伝子を継承してより強力なハイブリットに進化し続ける絶対生物なワケで、我々がよく知るエイリアンの姿というのは、実は人間の遺伝子を継承したハイブリッドなのです。ですからプレデターの体内に寄生すると「プレデリアン」という新種が誕生します。 前回の戦いで死んだプレデターの体内にはエイリアンの幼虫(チェストバスター)が寄生していて、そこから生まれたプレデリアンがプレデターの船内で大暴れし、船を地球に墜落させてしまいます。船内には捕獲されたエイリアンの幼生体フェイスハガーがウジャウジャいたから、さあ大変!逃げ出したフェイスハガー達は宿主を求めて森の中へ。何も知らぬ人間たちは次々にプレデリアンとフェイスハガーの餌食になって行きます。コロラド州の田舎町なんか、あっという間にエイリアンだらけになって、エイリアンの知識もない一般市民は、ただ逃げまどうばかりです。さあ、どうなる?普通なら俄然盛り上がるサバイバル・ストーリーなんですが、そうは問屋が卸さないのが「AVP2」。 ここに登場するもうひとりの主役が「ザ・クリーナー」というエイリアン駆除専門のプレデター。まあ、「ニキータ」に出てきたジャン・レノ演じる「洗濯屋」みたいなものですね。何か問題が起きたら、証拠も残さず何もかも消して回る、その道のプロです。しかも凄腕ですから、たったひとりでエイリアン達に立ち向かいます。それ故、タイトルのエイリアンは複数なのに、プレデターは単数なんですね。ともかく人間なんてそっちのけで、ひたすらエイリアン狩りに邁進します。もう、人間様の出る幕なんてあるのか? …というわけで映画の感想ですが、正直今回の登場人物はどれもこれも影が薄くて、誰が主役だかよく分かりません。おかげで感情移入が出来なくて、ちっともハラハラ出来ません。これはシナリオが悪いのか、演出が悪いのか?それに加えて、プレデリアンとザ・クリーナーの顔まで似ていて、暗がりで戦う両者の区別が付きにくいときています。せっかく面白い題材なのに、どうも未消化で、なんとも欲求不満が残る内容でした。女子供見境無く殺しまくる凶暴さだけは良かったんだけどなあ…。シナリオや演出がいかにも力不足で、陳腐なセリフやカットを何とかして欲しいです。「スリザー」を見習って欲しいなあ。 ちなみに、このシリーズも3部作構成らしく、次回で最初の「エイリアン」に繋がるようです。その伏線が劇中に出てきますが、この出来だと、果たして次回作は作られるのかが心配になってきました。 |
| 「ベオウルフ(3D)」 12/22 (WMKN) ★★★★☆☆☆☆ (ただし、3D上映に限ります。雨あられと降り注ぐ弓矢やドラゴンの炎をよけ、観客自身がヒーローとなる。) |
「ベオウルフ(3D)」は凄いですよ。なんてったって2時間まるごと3Dですからね。字幕スーパーが最後まで飛び出してましたよ。正直あまり好みでないパーフォーマンス・キャプチャーのCG映像も、この3Dとはすこぶる相性が良くて、ごく自然に3D映像の世界を満喫することが出来ます。これは新鮮な驚きでした。 映像面での驚きもさることながら、脚色もなかなか素晴らしいですよ。原作の叙事詩はいくつもの話を継ぎ接ぎしたかのように辻褄の合わないところも多く、実にまとまりのない話でした。ところが今回のシナリオでは、それらのエピソードを明快な一本筋の通った話に組み立て、難解な古典を血湧き肉躍る冒険活劇として見事にエンターテイメントさせています。いや、こんな面白く深みのある「ベオウルフ」は初めて観ました。この脚色をしたのがニール・ゲイマンとロジャー・エイバリーのふたりですが、このふたりの功績もアカデミー賞ものでしょう。ちなみにニール・ゲイマンといえばアメコミ「サンドマン」や「スターダスト」の原作者です。その手慣れたお話作りと構成力からして、これからも映画界で活躍し続けることでしょう。 |
「Slither」 (輸入版DVD鑑賞) ☆☆☆★★★ (久しぶりの80年代B級ホラー・テイスト。狙いは悪くないけど、惜しい〜の。) |
なにしろ「Rotten Tomatoes」が選ぶ2006年度B級ホラー部門でダントツの第一位に輝いた作品です。映画評を見ても好意的な意見が多かったので、いつ日本公開されるのかずっと待っていたのですが、未だに噂にも上りません。アメリカでは既にDVDが8ドルなんて値段で安売りされていますし、このままでは日本公開もないでしょうから、辛抱たまらず輸入DVDに手を出してしまいました。 内容については予告編でだいたい察しがついていましたが、予想に違わず立派なB級SFモンスターホラーで、もうヌルヌルのベトベトでグチャグチャでした。お話も単純明快。アメリカの片田舎の町が、宇宙からやって来た異形のエイリアンに侵略されるというもの。例えて言うならば、「遊星からの物体X」に「パラサイト」と「ゾンビ」と「スピーシーズ」を足して「フロム・ビヨンド」で味付けしたような、B級SFホラーのてんこ盛りです。一応ホラーなんですが、ツインピークスの住人みたいな登場人物や、どこか間が抜けたエイリアン(通称「イカ男」)のおかげで、思わず笑っちゃいます。 タイトルにあるヌルヌル動く連中も小気味良く、ブラック・ユーモアに溢れた演出は久々の傑作を期待させます。でも残念ながら、後半の詰めの緩さがいかにもB級らしく、日本で劇場公開されないのも頷けてしまいます。というわけで、惜しいけどカルトになりきれない、ズルズル感一杯のB級作品でした。それにしても、エイリアンの容姿を表現するのにポケモンを引き合いに出すとは、ちょっと嬉しい驚きです。ちなみに、主人公の顔に何処か見覚えがあると思ったら、「セレニティー」の人だったのね…。 |
| 「アーサーとミニモイの不思議な国」 (輸入版DVD鑑賞) ☆☆☆☆★★★ (日本語吹き替え版なんかで観たら、★2つ以上損しますよ!) |
リュック・ベッソンはホント好き放題のことをやってくれて、実に羨ましいです。世間的にはアクション映画ばかりが目につきますが、元々ロマンチストだったベッソンにはファンタジーが似合っているような気がします。別れた奥さんへの未練もたっぷり見せてくれて、なんか微笑ましいです(…というか、ちょっと気持ち悪いかも?)。劇中色々な仕掛けがあるので、日本公開の時は字幕版でないと料金の半分くらいは損しそうな気がします。CGのキャラクターがいかにも日本受けしそうにないので興行的に心配ですが、私は大変気に入りました。三部作全部観られると良いなあ。 |
「トランスフォーマー」 7/25 (UIP試写室) ☆☆☆☆☆★★★★ (戦闘シーンが、まるでブラックホーク・ダウンのように凄いです) |
「トランスフォーマー」は、1980年に日本のタカラから発売された変身型玩具「ダイアクロン」の権利を米国のハズブロー社が買って、米国で再開発して売り出した変身型ロボットシリーズです。80年代にはTVアニメシリーズにもなり、マーヴェル・コミックスからはコミック・シリーズも発刊されました。85年には日本でも玩具が発売されるようになり、TVアニメも放映されました。この際、オートボット達の名前も日本向けに変更され、「オプティマス・プライム」は「コンボイ」、「バンブルビー」は「バンブル」という具合にそれぞれ変名しました。その後劇場版アニメも製作され、レオナード・ニモイやエリック・アイドル、ジャド・ネルソン、オーソン・ウェルズなんていう超豪華メンバーが声優を務めました。 この映画版は、独立記念日の前日(正確には前々日の夜中から)に公開された途端、全米歴代火曜日興行収入第一位なんていう何だかマイナーな記録を樹立し、「スパイダーマン」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「シュレック」「ハリーポッター」といったシリーズ物の大作がひしめく夏の激戦期にあって、驚異的な興行収入をあげている作品です。公開3週を過ぎても興行ベスト10の上位にあって、いまだに根強い人気を誇っていますから、かなりのリピーターを生んでいるのでしょう。興行収入3億ドルも目前ですから。このまま行くと「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールドエンド」も抜くかも知れません。 なにしろピーターパン・シンドロームのスピルバーグと派手なアクションが売りのマイケル・ベイが組んで、日本製玩具のアニメを元にした映画を撮るというのですから、製作が発表された当初からどんな作品になるのだろうと興味津々でした。米国国内の映画評を見ても、熱狂的な大絶賛と辛辣な酷評の両極端に分かれていて、益々その内容と出来が気になっていました。さて、その実体は如何に? なるほど、酷評する人の気持ちもよく分かります。確かにシナリオは未消化なところもありますし、オートボット達のデザインも複雑でキャラの見分けが付きにくく、何かと分かりにくいところもあります。それに、SF的な設定と突拍子もない展開に全くついて行けない人も少なからずいることでしょう。特にメカに少しも興味や愛着のない人々は、金属生命体達に嫌悪感さえ抱くかも知れません。夢や浪漫に縁遠い人は、この手の映画を観てもただの絵空事とハナから馬鹿にすることでしょう。正直、これはそういった人達のための映画ではありません。 でも十代の男の子達、その想い出を共有するすべての人々にとって、これはまさに夢の映画です。ごく普通のサエない高校生が、ふとした切っ掛けから憧れの女の子と共に、人類の存亡を賭けたエイリアンたちの戦いに巻き込まれていくという、胸熱く心躍る冒険物語なのです。ともかくたたみ掛けるように続く派手なアクションと驚愕の映像を思う存分楽しみ、正義を貫くオートボット達の献身と自己犠牲の精神、それに格好いいキメ台詞に涙しましょう。 映画の出来としてみれば、確かにシナリオで少々納得しがたい点もあります。恐らく上映時間を切りつめるために、シーンを大幅カットした為でしょう。前半の綿密なシナリオ描写に比べ、後半はちょっと乱暴な展開になり、所々で説明不足が目立ちます。 しかし、そんな欠点も些細な問題と思えるほど、この映画が成し得た映像革命は偉大です。CG技術が生まれ、これまで多くの作品にその技術が活用されてきましたが、「質感」とか「重量感」といった存在感において、実写との間にどうしても拭えない違和感がありました。それは数値化された物理法則では到底越えられない壁だったのです。ところが、そんな壁をこの映画は、物理法則の呪縛から逃れることで簡単に越えてしまったのです。「実際には有り得ないデフォルメされた動きの方が実はホントらしく見える」という大胆なアニメ手法と「CGIで出来ないことは極力実写でやる」という発想の転換で、CGIと実写の垣根を見事に取り去っています。これこそまさに、映画のトランスフォームと言えるのではないでしょうか。 さあ、興味のある方は是非とも劇場に足を運んで、新しい映画の夜明けを目撃しましょう。キャラの見分けがつきにくい程画面の情報量が濃密ですので、吹き替え版でご覧になることをお奨めします。因みにオートボット達の吹き替えはアニメと同じ声優陣があたっています。 |
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」 7/14 (T109GM) ☆☆☆★★★ |
|
「ダイハード4」 6/23 (T109GM) ☆☆☆☆★★★ |
|
「300」 6/9 (T109GM) ☆☆☆☆★★★★ (この映画に触発されて、ビリーズ・ブートキャンプを始めよう!) |
フランク・ミラーの同名コミックを「シン・シティ」同様のコンセプトでコミック映像化した作品です。コミックの映画化と言うよりも、映画のコミック化と言うべき新しい映像表現です。全編抑えた色調で、宗教画のような神々しさを放ちながら、暴力と殺戮の限りが展開されます。もう、手足や首が次々と吹き飛び血飛沫が舞いますが、この新しい映像表現のおかげで、少しも残虐さを感じさせません。むしろ、魂を高陽させる爽快さと美しさがあります。
映像と共に注目されるのが、変速的なスローモーションによる動きのデフォルメです。アクションの動きが急にスローになったり、いきなりすっ飛ばしたりして、見せたいところはじっくりと、早いところはフラッシュで極端に素早く跳ばします。もちろん「マトリックス」に見られるジャパニメーションの影響とは思いますが、スローの部分がタメになって、後の動きが更に早く強調され、実に爽快です。剣の殺陣もスローで丁寧に見せるので、非常に分かりやすく、実に格好いい。この技法、これからも様々な映画で多用されることでしょうね。 さて、話の元となった「テルモピュライの戦い」は、紀元前480年ギリシャに押し寄せて来た200万のペルシャ軍(実際には21万という説が有力)に対し、7000人のギリシャ連合軍(記録では5000人余りと言われる)と300人のスパルタ精鋭部隊がテルモピュライ街道で迎え撃った、歴史上名高い戦いです。数において圧倒的に勝るペルシャ軍でしたが、スパルタの誇る強力な戦闘集団の抵抗にあい、思わぬ苦戦を強いられます。結局戦闘は3日間に及び、ペルシャ軍は2万人もの兵士を失いました。そして、この戦いが当時バラバラだったギリシャ諸国の結束を喚起し、後の大反撃に結びついたと言われます。その意味でスパルタの300人は、異教徒達の侵略に対して、自由と民主主義を守るために命を賭けて戦った殉教者とも見られるわけです。 アメリカでこの映画が大ヒットした背景には、イラク侵攻など、中東におけるアメリカ軍の活動をこの映画にダブらせて、「自由と民主主義のための戦い」という大義名分とともに、様々なわだかまりを払拭したということが挙げられるでしょう。ギリシャ彫刻のような完全美形のスパルタ兵に対して、殆ど化け物のようなペルシャ軍という、正義と悪を明確にしたデフォルメにより、敵をいくら殺しても罪悪感など微塵も感じられません。 あるいはアメリカのプロパガンダと見られないわけではないこの作品ですが、純粋に映像の美しさとアクションを楽しむ事が出来れば、これ程胸踊り血が騒ぐ娯楽作もありません。所詮は大昔の歴史ファンタジーなのですから、細かいことは抜きにして、この新しい映像世界に浸り、大いに楽しむことをお奨めします。 【300に関する個人的裏話】 1)製作にも名を連ねる原作者のフランク・ミラーは、これまで自分の作品に必ずカメオ出演していましたが、今作では確認できませんでした。(多分、会議場にいるか、ペルシャ兵のひとりになっていると思われますが…、DVDになったら確認します) 2)形状と設定がかなり違いますが、神託を行った神殿はデルポイ神殿だと思われます。そう、ポポロに登場するあの仙人の元ネタですね。 3)「シン・シティ」「300」と映画化作品がヒットを続ける中、当然フランク・ミラーの他の作品も映画化されることが予想されますが、そこで期待されるのがジョフ・ダロウ(ジェフリー・ダロウ)君との共作「ハードボイルド」と「ビッグガイ」です。さぞやダロウ君も「300」の大ヒットを喜んでいると思ったら、ダロウ君は「300」が嫌いだとのこと。曰く「人種差別とブッシュの宣伝映画だ」。うん、さすがダロウ君は真面目だなあ。 |
「リーピング」 6/1 (WMKN) ☆☆★★ (イナゴ少女に☆ひとつオマケ。ヒラリー・スワンプなんちゃって…) |
もと聖職者で、今は「奇蹟」の真相を科学的に暴くことに心血を注いでいるキャサリンの所に、ヘイブンという町からひとりの教師がやって来ました。町で起こっている怪奇現象を調査して欲しいというのです。しかも町の人々は皆、その原因はひとりの少女にあると思っているらしいのです…。
旧約聖書の「十の災い」を題材にした久々のオカルト・ホラー映画です。主役のキャサリンを演じるのが二度のアカデミー賞に輝くヒラリー・スワンクですから、ただのB級ホラーとは一線を画す作品に違いありません。確かに人物描写や意外などんでん返しなど、脚本は結構手が込んでいます。 でもこれってどこかで観たようなネタだなあ。なんか「呪い村」だったり、「エクソシスト」だったり、「オーメン」だったり、「炎の少女チャーリー」だったり、「ローズマリーの赤ちゃん」だったり…で、少しも新鮮味がありません。 もう世紀末は過ぎたことだし、この21世紀にオカルト・ホラーも無いでしょうが(2012年の黙示録というのがあるそうですけど…)、敢えてこのジャンルに挑戦したスタッフの熱意というか信心深さには敬意を表したくなります。だけど、散々使い古されたネタを、それ程の捻りもなく見せられるのは、少々辛い物があります。それも、信心のまったくない部外者ともなれば、全くの蚊帳の外。これで恐がれと言われても、そりゃ無理じゃないかと思うわけです。 とはいえ、さすがにヒラリー・スワンクの演技は鬼気迫るものがあって、B級で片づけるには惜し過ぎます。VFXも素晴らしく、特にイナゴのシーンなんか凄いです。真っ赤に染まった川というか湿地帯も規模が大きく、思わず環境汚染を心配したくなるほどです。それに、よく見るとイナゴ少女が凄く可愛いじゃないか!でも、その魅力を引き出す詰めが甘いなあ。う〜ん、納得できないけど、斬り捨てるワケにはいかない。そんなもどかしさの残る作品でした。 |
「シューター 極大射程」 6/1 (WMKN) ☆☆☆★★★ (あ〜っ、もったいない、もったいない!) |
原作は、宝島社が選ぶその年の海外ミステリーbPに輝いた非常に面白い作品です。たしか文庫本の帯には、キアヌ・リーブスで映画化決定!なんて書いてありました。原作ではベトナム戦争を戦った初老(中年か?)の元海兵隊員で、イメージはクリント・イーストウッドなんですが、映画ではそのあたりの設定が現代にゴソッと変えられて、よりスピーディーな展開になっています。主役のマーク・ウォールバーグの風貌もマット・デイモン似で、ジェイソン・ボーンをちょっとマッチョにしたイメージです。
元海兵隊特殊部隊の射撃の名手ボブ・リー・スワガーは、今は山奥でひっそりと愛犬のサムと隠遁生活をしていました。そこにアイザック・ジョンソン大佐が部下を引き連れてやって来ます。そして、ボブの狙撃の腕を見込んで、大統領暗殺計画を阻止するために協力して欲しいと依頼します。半径800メートルの警備網の外から大統領を狙撃するなら、一体どこから狙うか推測して欲しいというのです。ボブは、持ち前の愛国心と義務感からこの任務を受けるのですが、そこには恐ろしい罠と陰謀が隠されていたのでした…。 さて、主人公は伝説のスナイパーと言われるだけあって、その神懸かり的な射撃の腕には惚れ惚れしてしまいます。標的との距離が遠くなればなるほど弾丸の軌道には多くの要素が影響しますが、その一番大きな要素はもちろん天候や風です。しかし極大射程ともなると、空気中の塵や地球の自転までも影響し、着弾するまでに6秒もかかるのです。映画の中でもスコープから覗いた画が映し出されますが、撃つタイミングも、狙う位置も、標的から大分ずれているところがリアルでゾクゾクします。 こういう事細かな描写が素晴らしいので、スナイパーを扱った作品としてはまさに一級の出来と言っても良いでしょう。しかし話が進むに連れて、次第に雲行きが怪しくなっていきます。派手さを求めたのでしょうか、何故か爆破シーンばかりが目立つようになり、狙撃シーンの影が薄くなっていくのです。これはいかにももったいない。この映画最大の魅力を自ら放棄するなんて、製作者は一体どういう神経をしているのでしょうか?特に最後のクライマックスなんか、殆ど至近距離から撃ったりして、折角のタイトルが泣きます。どうせ見せるなら、派手な狙撃シーンで閉めてもらいたかったと思います。う〜ん、もったいない! 劇中、銃に撃たれた時の応急処置とか、日用品での手術とか、爆弾の作り方とか、結構実用的なサバイバル術が紹介されていて、これも興味深かったです。それにしても、悪代官(悪徳政治家)と悪徳商人が笑いながら集まっているところに仕置き人がやって来るという、まるでTV時代劇のようなシーンには、思わず失笑してしまいました。 |
| 「パイレーツ・オブ・カリビアン〜ワールド・エンド」 5/25 (T109GM) ☆☆☆★★★ (キース・リチャーズを出すのは如何なものか?むしろリンゴ・スターか、関根勤を出して欲しかったなあ…) |
ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイの3人が主役を張る人気シリーズの完結編です。
前回の話でクラーケンに食われたジャック・スパロウを救い出すために「世界の果て」に向かうウィル・ターナーとエリザベス・スワン達。見事ジャック・スパロウを救い出し、伝説の9人の海賊たちを結束させて、海賊撲滅を謀る東インド会社の野望を打ち砕くことができるでしょうか? まあ、大まかに言うとそんな流れのはずなんですが、この「パイレーツ〜」シリーズは、「じつはこうなんだ…」と後付で新設定をセリフだけで披露するというルール無視の(まさに海賊的な)シナリオ作りが特徴ですから、次に何が起こるかなんて全く予測がつきません。冒頭いきなり女神カリプソなんて新設定を出されたり、仰々しく登場した新キャラがあっけなく消えたりして、観客は翻弄されるばかりです。この有無を言わさず次々と驚かす手法って、なんかディズニーランドのアトラクションに似ています。 そんなわけですから、この作品にあれこれ細かいこと言っても意味がないような気もします。なにしろ、映画というよりアトラクションですからね。ともかく、次々に飛び出すあの手この手のビックリ映像を観て、ただ面白がれば宜しいのでしょう。ですから、曰くありげな伏線の数々が未回収だったり、登場人物の性格がいきなり変わったり、敵が不可解な行動をしたり、何のために出てきたのか分からない物が色々あったり、死んだり生き返ったりのルールがマチマチだったりしても、いちいち目くじらを立ててはいけません。 あれやこれやで内容はゴチャゴチャしていますが、最後はちゃんと巧い具合に締めくくっているので、シリーズ物としてはまとまっている印象を受けました。本来この物語はウィル・ターナーとエリザベス・スワンが中心ですから、ジャック・スパロウの影が薄くなるのは仕方ありません。成る程、「プライドと偏見」で閉めたのね…、と私は勝手に納得してしまいました。 |
「スパイダーマン3」 5/1 (WMKN) ☆☆☆☆★★★ (続きを見たいので製作費を回収して欲しいです) |
250億円という巨額の製作費がどこにかかったのかは知りませんが、ともかくCGは凄まじいです。特に、新しく登場するサンドマンとヴェノムの映像はまさに画期的です。でも、アクションが目まぐるしい上に、カット割りも激しく、アップも多くて、暗い背景に黒い衣装が重なるのは、かなり目に負担を強います。パソコンのモニターでトレーラーを観た時は何でもなかったシーンも、大スクリーンではとても見づらく感じました。なにしろキャラの動きが半端じゃないですから、目で追うだけでも精一杯ですよ。劇場では、スクリーン全体を把握しやすい最後部でゆったり鑑賞することをお奨めします。
思えば、9.11の影響でツインタワーに蜘蛛の巣を張るシーンがカットされ、当初からニューヨークの人々と因縁浅からぬ「スパイダーマン」シリーズですが、このシリーズ完結編(…じゃなくなったみたいだけど)では、イラク派兵を終焉させるかのように、復讐心を捨て相手を許そうと説きます。ピーター、ハリー、メリーの3人も、それぞれ心に葛藤を抱えながらも、少しずつ成長して行きます。ですから、「スパイダーマン」らしからぬ、ちょっとアンニュイ漂うしっとりしたエンディングも、シリーズの締めくくりとしては、なかなか味わい演出かも知れません。でも、やっぱり最後はスカッと終わって欲しかったなあ。どうもスッキリしませんよ、これじゃあ。 とはいえ、最後の戦いには胸が熱くなりました。やっぱり、市民の歓声に迎えられてヒーローが登場するシーンはいつ見ても感動しますね。それに加えて、彼の登場には分かっていても泣けました。ヒーローものはこうでなくっちゃ!最後の戦いは、もう30分続けて欲しかったなあ。それと、エンディングには是非とも例のレストランで、例のフランス人に登場して欲しかった! ちなみに劇中、原作者のスタン・リーが登場して、ピーターになかなか良い助言を与えていますよ。 |
「ゲゲゲの鬼太郎」 5/1 (WMKN) ☆☆☆★★ (猫ダンスに☆ひとつオマケ!) |
元々漫画の映画化にはあまり期待はしていないのですが、前評判がなかなか良さげだったので、気になっていた作品です。今年は「どろろ」も「蟲師」も公開されたし、いよいよ妖怪映画の本命登場だなんて浮かれていたら、うかつにもこれが子供向け映画であることを忘れていました。そうだ、東映まんが祭りなんだ。子供がウジャウジャ観に来ているんだ。子供の泣き声と叫き声と、大運動会でドタバタしているんだ。この手の映画を観るなら、大人のレイトショーに限るということに気が付いたのも後の祭り。場内騒然とするわ、子供が椅子から転げ落ちるわ、目の前を子供を抱えたお母さんが右往左往するわで、全然画面に集中できませんでしたよ。
さてお話の方ですが、お子様向けに何かこじんまりと小さくまとまっている印象を受けました。空を飛んだり、夜見(黄泉)の世界まで行っているわりには、スケールが小さいんですね。アクションも意外と狭い空間でやっていたりして、なんだか窮屈な感じがしてなりません。良くも悪くも松竹っぽい絵作りだなあと思いました。 鬼太郎を演じているウェンツ瑛士は殆ど地のままの演技ですが、日本人離れした風貌が幸いして、なかなか良い感じを出しています。その他の妖怪を演じている役者達も、殆どノーメイク(嘘です!)で伸び伸びと演じています。それだけ役にハマっているというわけで、絶妙のキャスティングだと思います。中でも特筆すべきは田中麗奈の猫娘で、彼女の珍妙な猫ダンスはまさに一見の価値有りかも?NHK教育の子供番組あたりで、是非とも踊って欲しいものです。もしくは、猫娘主演のスピンオフ作品ってのも観てみたいものです。 ところで、鬼太郎の左目が見えたのにはちょっとビックリしました。でもそのすぐ後に、髪の中から目玉の親父が出てきたので、きっとあれは親父さんだったのでしょう。目玉の親父がいないシーンでのアクションの最中、左目が見えたかどうかは確認していませんが、気になるところです。 |
「サンシャイン2057」 4/27 (T109GM) ☆☆☆☆★★★ (娯楽作品としては、どうもなあ…) |
なにしろ…「トレインスポッティング」「28日後」のダニー・ボイル監督の宇宙SF映画です。彼の作品は妙に捻くれているので大当たりはしないけれど、そこがマニアには堪らない魅力でもあります。まあ、今回もきっとまともな娯楽作品には仕上げないんでしょうが、何かやってくれるだろうと期待せずにはいられません。
しかし、これはとんでもない物語です。2057年、太陽がなぜか急に活動を減退化させ、凍てつく氷に閉ざされた地球では人類存亡の危機に瀕していました。この危機を救うには、太陽にありったけの核爆弾を投じて再び活性化させるしかありません。そこで人類最後の希望として、8人のクルーを乗せたイカロス2号は、マンハッタン島ほどの核爆弾を抱えて太陽へと旅立ったのでした。 原題はただの「SUNSHINE」なんですが、何故か邦題は「サンシャイン2057」になってしまいました。異常になった太陽を人類の英知で正常化するという話では、過去に「クライシス2050」というトンデモ映画がありましたが、まさかこれに引っかけたわけじゃないでしょうね?いや、同時期に「リトル・ミス・サンシャイン」があったので、紛らわしいと感じたのかも?それとも、年号というか数字を入れるとSFっぽいタイトルになるという浅はかな考えによるのでしょうか?ともかく、このタイトルで、この映画は大分損していると思います。 この映画、ちょっと分かりにくいですが、実はもの凄く挑戦的な作品なんです。話自体、太陽に行くという、とんでもない事に挑戦していますが、映像的には「2001年宇宙の旅」に真っ向勝負しています。「2001年〜」と同じようなシチュエーションも登場しますが、比較されることを覚悟の上で、更にバージョンアップした映像を見せてくれます。そして、物語の主題たるや実に哲学的で、興行的に心配になるほどストイックな作り方に驚かされます。つまりこの作品は、地球と人類の創造主たる太陽という〈神〉への挑戦であり、「2001年宇宙の旅」というSF映画の〈神〉への挑戦でもあり、形而上的な〈神〉という意識に対する挑戦でもあるのです。 コンピュータ・イカロスが探知した5人目の乗組員の存在が何であるか?その解釈によって、この映画の意味する主題は、無限の広がりを持つに違いありません。で、神について思い詰めた挙げ句、「2001年〜」のような高尚さに背を向けてB級ホラーに走っちゃうのが、さすがダニー・ボイル。でも、当たらないだろうなあ…。 |
| 「モンスターハウス」 リアルD 4/26 (WMKN) ☆☆☆☆★★★★ (正真正銘のモンスター映画です。最後まで席を立たないように…) |
この「モンスターハウス」はCGアニメですが、まあちょっと微妙なデフォルメなので、キャラを見ただけで引いた人も多かったのでしょう。日本での興業はサッパリでした。でも、本国アメリカではなかなかの入りだったようで、評価も結構高かった作品です。その証拠に、「カーズ」「ハッピーフィート」と並んでアカデミー賞長編アニメ部門にノミネートされました。
そこにはきっと何かあるに違いありません。 今回、港北ニュータウンにワーナー・マイカルが誕生した記念に「リアルD」で無料上映されるというので、早速行ってきました。 まず、のっけから「リアルD」の立体感に驚かされます。ドルビーデジタルのロゴが飛び出すなんて、始めて見ましたよ。あとは、あれよあれよと飛び出す、飛び出す。凄いなあ、これ。高所恐怖症の人はホントに目が眩むでしょうね。いや、3Dの技術も進歩したものです。 もちろんお話の方も、しっかりモンスター映画していて、感激しきり。そうか、3Dって物の大きさを表現するのにも適していたんだ!なんて嬉しい発見も。これで怪獣映画を作ったら、燃えるぞ!「トランスフォーマー」も是非3Dで上映して欲しいなあ。 そんなわけで、今日はホントに良い物を見せてもらいました。何にしろタダだし、とっても得した気分です。ついでに言えば、この劇場は音響設備も非常に良いです。ボソボソという子供の声もすぐ耳元で聞こえたりしますので、ホラー映画の場合は要注意です。肝を冷やすこと請け合いですぞ。 鑑賞用3Dメガネもお土産で持ち帰れて、ラッキー♪ |
「ハッピー フィート」 3/11 (T109GM) ☆☆☆★★★ (外見の可愛さとは裏腹に、ブラックな内容です) |
今年のアカデミー賞で「カーズ」を破って、長編アニメ部門を征した作品です。長編ドキュメンタリー映画「皇帝ペンギン」が異例の大ヒットをした時、ペンギンのCGアニメを作れば絶対受けるだろうとは思いましたが、この作品の企画はそのずっと前からあったそうです。いずれにせよ、ペンギンが歌で愛を語るという設定と、タップを踊るというアイデアが面白いですね。
それに、なんと言ってもキャラが可愛いです。仲間が楽しげに歌う中で、ただ1羽歌えない主人公のマンブルの健気さも涙を誘います。CGの技術も、同じ氷を扱った「アイス エイジ2」と比べて格段の進歩を見せています。羽毛の感じはもちろん、特に水の表現が素晴らしいです。ですからもう、さすがアカデミー賞受賞作だ、☆5つだなんて思いながら観ていましたよ、前半までは…。 しかし、後半になって話が急に現実味を帯びるようになると、次第に雲行きが怪しくなって来ます。そして物語はとんでもない展開を見せるのです。そこに見え隠れするのは、宗教観に裏打ちされた欧米人の偏った自然保護思想であり、形を変えた白人至上主義であり、一方的な価値観の押しつけでもあります。結局、選ばれたものだけが生かされ、そうでない者には全く目もくれないのですね。このペンギンたちを黒人に入れ替えると、ピッタリ当てはまるところが、また不気味です。この結末と主張には素直に喜べませんね。 アカデミー賞を争った「カーズ」と「ハッピー フィート」ですが、主張的にも大きく違うところがあります。前者は「古き物も見直そう。古き者の言うことにも耳を傾けよう」という主張でしたが、後者は「古き物は捨てよ。古き者は考えを改めよ」と言うのです。ここがまた好きになれません。う〜ん、日本で受けるかは微妙だなあ。 あっ、後で振り返ってみて、もしかしてこれは逆説的な皮肉なのかも?と思えてきました。だとしたら、こりゃ凄いブラックユーモアじゃありませんか!うむむ、この作品も侮れない…かも。 |
「ナイト ミュージアム」 3/11 (T109GM) ☆☆☆☆★★★★ (みんなで博物館に行こう!) |
ラリー・デリーはおかしな発明にうつつを抜かし、夢だけは大きいのですが、何ひとつ上手く行きません。おかげで、奥さんにも愛想を尽かされて離婚されるし、いつまでも定職にありつけない有様です。それでも、息子にだけは立派に働いている姿を見せたいラリーは、アメリカ自然史博物館の夜警員の仕事を引き受けます。ところが、この博物館には信じられないような秘密がありました。なんと、夜になると博物館の展示物が生命を持って、勝手に動き始めてしまうのです。さあ、ラリーは無事にこの仕事をやり遂げて、息子の信頼を勝ち得ることができるでしょうか?
博物館の展示物が今にも動き出しそうに思った経験は、誰にも一度はあるでしょう。それを本当に動かしてしまうのですから、これは痛快です。まあ、ベン・スティラーのコメディーですから、堅いことは言わずに、素直に楽しみましょう。オクタヴィウスやファラオが英語を喋ろうが、動き出す理由がいい加減でも、全然気にすることはありません。ただ、博物館を舞台にしている割りには、博物館の特性や展示物を今一つ活用しきれていない気がします。数も種類ももっとあると思うのですが、何だかこじんまりした博物館だなあという印象を受けました。でも、あんまり数を出したら収拾がつかなくなったかも知れませんね。 米国の歴史には疎いですが、ここに登場するサカジャウィアというネイティブ・アメリカンの女性はアメリカでは大変有名な女性なんですね。ポカホンタスくらいしか知らないわたしにとっては、非常に興味深い登場人物でした。これを機に、アメリカ史を少しかじってみようかなという気になりました。映画としてはバカバカしい内容ですが、知的好奇心を刺激するという意味では、なかなか侮れない作品だと思います。もともと博物館が好きなので、個人的にはかなり楽しめました。 キャストも面白く、ルーズベルトそっくりなロビン・ウィリアムズとか、そのまま博物館入りしそうなディック・ヴァン・ダイクやミッキー・ルーニーなんかも出ていて楽しいです。もちろんベン・スティラー作品には欠かせないオーウェン・ウィルソンもカメオ出演していて、ベン・スティラーの母親アン・メアラも顔を見せています。 |
「ドリーム・ガールズ」 3/1 (T109GM) ☆☆☆★★★ |
明らかにダイアナ・ロス、メアリー・ウィルソン、フローレンス・バラードの「シュー・プリームス」をモデルにしたと思われる、コーラスガール3人組の成功と挫折の物語です。この映画でジェニファー・ハドソンがアカデミー賞助演女優賞を獲得しましたが、やはりビヨンセの歌唱力には圧倒されます。それでも、本家ダイアナ・ロスと比べたら見劣りしてしまいます。そんな中、私が一番気に入ったのは、エディ・マーフィのラップでした。モータウン・ミュージックが好きな人には至福の時間ですが、最初から最後までず〜っと、みんな熱唱するので、さすがに疲れました。 |
「リトル・ミス・サンシャイン」 3/1 (T109GM) ☆☆☆☆☆★★★★ (シナリオが素晴らしい!) |
わたしは映画を観る時、観客の立場から観ると同時に、作り手の立場からも観てしまうので、作品の色々な部分に目が行ってしまいます。例えばセットの作りとか、カメラやマイクや照明の位置とか、エキストラの目線だとか、話に全然関係ないところも気になってしまうのです。もちろんお話にしても、そのまま楽しむことができず、自分でシナリオの先を勝手に組み立てるクセがあります。当然、話の先を常に何通りも予測しながら観てしまいます。ですから、自分の予測通りだったり、それ以下だったりすると、なかなか満足できません。
そうやって作品の技量を量るワケですが、年に何本か、わたしの予想を超える素晴らしい作品に出くわすことがあります。この作品がまさにそうで、このシナリオにはまいりました。お話やセリフにまったく無駄が無く、実に見事な出来映えです。制作に何年も費やし、シナリオに惚れ込んだ監督の情熱でようやく完成に漕ぎつけた作品と聞いて、成る程と納得しました。有名スターが誰ひとり出ていない、ホントに低予算の小品ですが、作品の完成度から言ったら、この映画にアカデミー作品賞をやっても良かったんじゃないかと思います。 わたしはかねがね「勝ち組」「負け組」なんていう分け方に大変疑問を感じていたのですが、この作品に登場する家族はまさに「負け組」そのものです。家庭崩壊、破産寸前、自殺未遂、麻薬中毒、性格破綻、肥満、ゲイなど、ありとあらゆる要素が詰まった社会的落伍者の吹きだまりのような家族が、ふとしたきっかけでオンボロ車に乗り、「リトル・ミス・サンシャイン」を目指して旅をするロード・ムービーです。設定からして、何だか楽しいですね。 「リトル・ミス・サンシャイン」というのは、ジョンベネちゃんの事件で日本でも注目された、少女版ミス・コンの大会の名前です。主人公たち家族の娘が、ひょんなことでこの大会に参加することになったのですが、このちょっと太めでメガネを掛けた娘を演じるのが、ポスト・ダコタ・ファニングと言われるアビゲイル・ブレスリンです。この作品でアカデミー助演女優賞にノミネートされましたが、なかなかの怪演を見せてくれます。大きくなったら、結構な性格俳優に育ちそうで、今後の活躍が楽しみです。 この他、作品に登場する俳優は、ひと癖もふた癖もある性格俳優揃いで、これらの登場人物がうまく絡んで、絶妙のアンサンブルを奏でています。このシナリオの妙、日本映画も見習って欲しいですね。日本映画では、それぞれのキャラがバラバラになって、何一つ噛み合っていないという作品が実に多いですから。 さてこの家族、どうあがいたって成功者にはほど遠いです。こんな家族に未来はあるのでしょうか?世間に1割の「勝ち組」と9割の「負け組」がいるとしたら、この映画はまさに9割の人々のための物語です。今に絶望し、明日を見失っている、そんなあなたこそ、この映画を観ましょう。嘘のサクセス・ストーリーに振り回されて、自暴自棄になっているあなた!この映画に、ささやかな光を見出してください。ラストはきっと涙が止まりませんよ。きっと、アメリカの劇場では歓声が上がったことでしょう。 余談ですが、「リトル・ミス・サンシャイン」の会場で、娘を会場にエスコートする係員は「24」のクロエですよ。 |
「鉄コン筋クリート」 2/1 (T109GM) ☆☆☆☆★★★ (アニメとしては凄いですが、問題は面白いかということ) |
松本大洋原作漫画のアニメ作品です。この原作にして、このアニメ在りという感じで、原作漫画を動かしたら、まさにこうなるだろうという見事なアニメ化です。凄い出来です。尋常じゃないくらいに動いています。関わっている動画家の数も尋常じゃありません。背景も3DCGのトゥーン・シェード使ってグルグル動き回ります。監督が米国人(マイケル・アリアス)というのも珍しいですが、スタジオ4℃が最良と考えた人がたまたま米国人だっただけのことです。数々の実験アニメを生み出してきたスタジオ4℃が、今まで培った技術を結集した、まさに集大成と呼ぶにふさわしい作品に仕上がっています。
ただし、このキャラクターは好き嫌いが分かれるでしょうし、話も今一つ分かりにくく、内容も至極暴力的ですから、一般ウケはしにくいでしょう。でも、声優は素晴らしく、声の力だけで物語に引き込まれます。特に蒼井優には驚愕しました。この人は凄いね!あと個人的には、絵が骨の髄までメビウスしているのが気に掛かりました。いずれにせよ、この作品は日本よりも海外で受けるような気がします。 私的には、この調子でフランク・ミラー&ジェフリー・ダロウの「ハードボイルド」や「ビッグ・ガイ」を是非ともアニメ化して欲しいと思います。早速ダロウ君にメールを送って、そそのかしてやろう。 裏話) 以前パイロット・フィルムを観たことがありますが、それはモーション・キャプチャーで作った3DCGにトゥーン・シェードを掛けるという作りでした。同じ手法のアニメをメビウスが「シティ・オブ・ファイヤー」のパイロットで使っていて、これなんかBDの絵がそのまんま動いているという感じでした。ただモーション・キャプチャーの動きはロトスコープと同じで面白味がないんですよね。完成版の「鉄コン」は湯浅監督に近いデフォルメがなされ、アニメ本来の動きの面白さがありました。正しい判断だと思います。 |
「どろろ」 2/1 (T109GM) ☆☆☆★★ (クライマックスに行くに連れ、盛り下がる…) |
手塚治虫原作の伝奇妖怪漫画「どろろ」の初めての実写映画です。なにしろ色々と難しい描写がありますので、CG技術の進化を待つまで映像化が非常に難しかったのです。もっとも、倫理的な描写規制の壁の方が大きいですけど…。まあ、長く映像化が切望されてきた作品ですので、どんな出来になったか非常に気に掛かるところです。そんなわけで、不安半分、期待半分で観てみました。
いや、アクションとかCG合成とか、心配したわりには、なかなか良くできていましたよ。近くの若いカップルは「面白かったね」と言っていました。手塚漫画の映画化作品としては良く出来た方だと思います。でも私は「う〜ん…」と考え込んでしまいます。だって、物語の舞台は日本じゃないし、設定もかなり違いますから、これが「どろろ」かと訊かれれば、「う〜ん」と返事に詰まってしまうワケです。でも、曲がりなりにも「どろろ」を実写映画化したのですから、その勇気は誉めてやりたいと思うのです。わたしなんか、日本では絶対不可能だと思っていましたからね。日本特有の表現の制約があるので、舞台を日本にせず、設定を大胆に変えたというのも頷けるところです。まあ、所詮映画は映画で、漫画とは別物ですから、その辺りは仕方ないところでしょう。 でも…純粋に作品として見るならば、このシナリオ構成は如何なものでしょう?どう考えても、この構成は間違っています。導入部の作り方からして、大きなミスを犯しています。ここで手際よく百鬼丸の生い立ちを説明しておかないから、後で回想シーンがやたら多くなってしまうのです。回想シーンを多用したがために物語の流れが止まり、映画としてのリズムを壊してしまっているワケです。まあ、そんな致命的なミスを犯しながらも、アクションやVFXが結構楽しめるので中盤までは面白く観られるのですが、そこから後がいけません。まるで坂道を転げ落ちるように、どんどん盛り下がって行きます。もう、最後のクライマックスなんか、目も当てられません。何だか急に新しいキャラが出たかと思えばすぐに死んじゃうし、スケール小さくなるし、いやホント、これ程盛り上がらないクライマックスも珍しいです。結局、観た後印象に残ったのは、妻夫木聡の格好良さと、柴咲コウの泣き顔だけでした。まあ、それを見に来た人にはそれで良いのかも知れませんが、それにしても…こんなことで続編は作られるのでしょうか?う〜ん。 |
| 2006年 | |
「デイパーテッド」 12/23 (TKNK試写) ☆☆☆☆★★★ (スコセッシ爺さんは凄い!) |
香港映画「インファナル・アフェア」をマーティン・スコセッシ監督がリメイクした作品です。キャストが凄いですよ。トニー・レオンをレオナルド・ディカプリオ、アンディ・ラウをマット・デイモン、エリック・ツァンをジャックニコルソン、アンソニー・ウォンをチャーリー・シーンが演じています。警察とマフィアからそれぞれスパイを送り込むという話はそのままで、肝となる要素やシーンは同じですが、場所を香港からボストンに換え、話の展開もかなり変わっています。 この映画は、とにかくテンポが速いです。シーンの切り替えが早く、ちょっと油断すると大事なシーンを見逃しかねません。なんてったってタイトルからして、いつ出たんだっていうくらいにサッと現れてすぐ消えてしまいます。これが最近の映画のテンポなんでしょうか?字幕を読んでいる暇もないほどですし、英語もアイリッシュ訛りが激しくて、日本の観客にはかなり辛いものがあります。 とはいえ、映画としては重厚感もあり、さすがスコセッシと感心させられる出来になっています。オリジナルの「インファナル・アフェア」は香港フィルム・ノワールの傑作ではありますが、良くも悪くも香港映画の甘さが出ていました。その辺り、アメリカ人から見れば、「いったん銃を抜いたら撃てよ!しかも、確実に急所を狙えよ!」と言いたいところでしょう。その点この作品には一切の「甘さ」がありません。銃を抜いたら、必ずだれか死にます。それも驚くほどあっけなく。この恐ろしいほどのリアリズムが作品全体に緊張感を与えています。ですから、2時間半という上映時間にも拘わらず、一瞬たりとも気を抜けないまま、あっという間に時間が過ぎてしまいます。気を抜いたら、そこには「死」があるのみ。まさに「ディパーテッド(故人)」とは言い得て妙なるタイトルであります。 ちなみに、劇中随所に下品な言葉や物が飛び出しますので、女性にはちょっとお奨めしにくいです。 |
「硫黄島からの手紙」 12/23 (T109GM) ☆☆☆☆★★★★ (イーストウッドは本当にエライ!) |
|
「エラゴン」 12/23 (T109GM) ☆☆☆★★ (ドラゴンだけは素晴らしい) |
|
「007カジノロワイヤル」 12/1 (T109GM) ☆☆☆☆★★★★ (次回への期待を込めて!) |
何だ、この新しいボンド役者は?まるでロシアのプーチン大統領ソックリじゃないか!こんなの007じゃない!なんて思ったあなた。確かにその通りです。もう、どう見ても、KGBのスパイにしか見えませんよ、このダニエル・クレイグという男。映画の冒頭から、マッチョな身体で暴れ回るし、スマートの欠片もない、粗野で野蛮な振る舞いには目を覆いたくもなります。 でも、それもこれも、すべては、新しい007シリーズを構築しなおそうという、製作者の意図したことなのです。ご存知のように「カジノロワイヤル」は007シリーズの第一作です。バットマンで言えば、「バットマン・ビギンズ」なのです。つまり、ここで描かれているのは、野蛮な「007」がいかにしてスマートな「ジェームズ・ボンド」になったかという、そのいきさつなのです。ですから、こんなやつ007じゃない!なんて思ったあなたは、すでに製作者の思うツボにはまっていたのです。 そんなわけで、007らしからぬ行動がいっぱい出てきて驚かされます。ワイルドなアクションは「ヤマカシ」みたいだし、格闘シーンなど「ボーン・スプレマシー」のようにより現実的だし、賭博シーンなんかホントにスッちゃいそうで、「シンシナティ・キッド」のような緊迫感があります。拷問受けたり、敵の罠にはまったり、もう「24」のようにハラハラドキドキの連続です。どんな時でも余裕とユーモアを見せてくれるのが007なんですけどね。このボンドは、まだまだ修行が足りないです。 このように今回の「カジノロワイヤル」には、新しいシリーズを再構築しようという決意が表れていますが、冒頭の白黒映像は、昔の話だという誤解を招くかも知れません。なにしろ、時代背景はまさに現代ですからね。冷戦も終わり、ボンドは携帯電話も持っています。しかも、映画会社のMGMがソニーに買収されたので、もうソニー製品のオンパレードです。でも、携帯電話もデジカメもノートパソコン等々みんなあからさまにソニーというのは如何なものでしょうか?こうなったら、この際007仕様のVAIOとか出せばいいのに。 ということで、当初はこんなやつボンドじゃねえ!と憤っていましたが、映画が終わる頃には、なかなかイケルじゃないかと納得してしまいました。次回を乞うご期待ですね。 |
「武士の一分」 12/1 (T109GM) ☆☆☆★★★★ (非常に質素で地味な佳作です) |
名匠山田洋次監督の時代劇。藤沢周平原作の時代劇三部作の完結編なのだそうです。主演に木村拓哉を持ってきて、盲目の剣士をやらせるというのが、なかなかニクイです。確かに絵になりますからね。しかし、今回の白眉は、その妻を演じる檀れいです。この女優は大きな収穫でした。宝塚の娘役をやっていた人で、中国公演の時に楊貴妃の再来と騒がれたんだそうです。なんと言っても、今の邦画界に欠落している本当の意味での美人女優の登場を嬉しく思います。そして彼らに仕える徳平役の笹野高史が飄々として、親しみやすい人柄が場を和ませます。この配役は絶妙です。 話の内容はさておき、この作品は夫婦愛に焦点を当てていますので、意識的に殺陣のシーンは押さえめになっています。ひたすら武士の家庭の日常を事細かに表現することに力を入れています。それは、主人公が決闘をする原因となった事件の描写についても言え、かなりあっさりとした扱いになっています。本来なら、果たし合いの相手がいかに悪いヤツか、じっくり描写して、相手への嫌悪感を煽るところですが、そうはしません。何故なら、それをしたら夫婦愛にドロドロとしたイメージを持ち込んで、全体としての印象を汚しかねないからです。 このようなわけで、この作品では、大げさに声を張り上げたり、泣き叫んだするりといった邦画特有のオーバーな表現は鳴りを潜め、主人公たちは、ひたすら感情を押し殺し、堪え忍びます。そして、これがこの作品の最大の見所だと思います。ですから、時代劇三部作の中でも、最も上品で地味な印象を受けました。シナリオも緩いし、見せ場もないし、劇映画としてはとても食い足りなさを感じますが、この質素でホンワカしたところがまた良いのかもしれません。わたしとしては、もっと言葉少なに忍んでも良いかと思いましたが、それでは観客には分からないだろうなあ。観客の反応も上々なので、興行的にはヒット間違いないでしょう。 |
「トゥモロー・ワールド」 12/1 (T109GM) ☆☆☆☆☆★★??? (この映像は凄い!10年に一度のSF映画) |
イギリスのミステリー作家P.D.ジェイムズの「人類の子供たち」を元にアルフォンソ・キュアロン監督が120億円を費やして映画化した超大作です。とはいえ、話だって「子供ができなくなった近未来。人類の未来に希望はあるのか?」というような、暗いテーマのSFだし…、主人公はニコラス・ケイジの出来損ないみたいなクライヴ・オーウェンだし、「フォーガットン」のジュリアン・ムーアも出ているし、正直予告編を観た限りでは、全然期待していませんでした。だから、この映画を観るために朝早く起きるなんて、ホント苦痛でしたし、映画館へ行く足取りも重かったのです。 でも見始めたら、巻頭から度肝を抜かれてしまいました。そして次第に、こいつはとんでもない映画なんじゃないかと気づき始め、その凄まじさに背中がゾクゾクしてきました。そう、ヒッチコックの「ロープ」を見始めた時と同じ感触です。いやそれ以上、ホントに凄いんです。いったいどうやって撮ったんだろう?普通の観客は気が付かないでしょうが、カメラの後にはたくさんのスタッフがいるんですよ。録音どうするんだ?とか、照明どうしたんだ?とか、もう沢山の謎が渦巻いて、わたしの頭の中はパニック寸前です。CG合成も恐ろしく多用されているようですが、それだけでこの映像は作れません。もの凄いセットと、スタッフ、キャストの計算され尽くした連係プレー無しには、こんな映像撮れません。う〜ん、凄い!これは映画史に残る作品かも知れません。これからも長く、映画研究の素材として取り挙げられることになりそうです。そんな作品を映画館の大画面で観られて、今日はいきなりヒットです。あっ、でも、かなりハードな作りなので、興行的には厳しそうです。特に女性にはキツイだろうなあ。でも、わたしは結構胸にジーンと来ましたよ。とにかく、こんな映画作った連中はエライ!わたしだけでも誉めてやろう! 脱力の邦題からして、まず当たらないでしょうから、来年まで持つかどうか大変疑わしいです。でも、できればひとりでも多くの人に観て欲しい傑作です。とはいえ、多分に人を選ぶので、だれにでも勧められるというわけではありません。興味のある人は、騙されたと思って、是非大画面で観てください。とにかく凄いですよ。 |
「父親たちの星条旗」 11/1 (T109GM) ☆☆☆☆★★★★ (とにかく偉い!) |
第二次世界大戦中、唯一日本軍より米国軍の死傷者が多かった(真珠湾攻撃は例外)硫黄島の戦いで、島の象徴とも言える摺鉢山の頂上に星条旗を揚げた6人の兵士の写真にまつわる物語です。あの写真に写っている星条旗は最初に揚げた星条旗ではないし、写っている兵士も別の兵士だったことは後で公にされ物議を醸しました。ようするに多額の国債発行キャンペーンのために利用されたヤラセだったわけです。そのような情報操作は戦時中いくらでもあったでしょうが、アメリカ人にとって最も有名な写真だけに、その影響も凄まじく、それに利用され、偽りの勇者としてもてはやされた当の兵士の心境を考えると複雑なものがあります。
この星条旗を揚げる写真は、ハリウッド映画の中でもアメリカの栄光を象徴するシーンには必ずと言っていい程登場する(世界の危機にアメリカが立ちあがる様なシーンには特に使われます)有名な写真で、言わば、アメリカ人の心の支えでもあるわけです。このアメリカの栄光に影をさすような作品を、巨費を投じてスピルバーグが製作し、イーストウッドが監督するのですから、アメリカという国はホントに懐が広いものだと感心させられます。しかも更に、今まで日本映画界ですら手を付けなかった、日本側から硫黄島の戦いを描く「硫黄島からの手紙」まで作ってしまうのですから、もうこれは偉いというほかありません。ホントに偉いぜ、イーストウッド! さて映画を観た素直な印象は、さすがイースト・ウッドは凄い監督になったものだということです。こんな凄い大作でも、ひたすらマイペースを貫けるなんて、ホントに恐れ入ります。私がまず驚いたのは、硫黄島に向かう艦隊から兵士が一人海に落ちるシーンです。船は落ちた兵士を救出するでもなく進み続け、海に漂う兵士はどんどん遠ざかっていきます。もちろん、軍が兵士を使い捨てにするという事を表す大事なシーンですが、こんなショットを延々撮るなんて、並の監督では到底できません。製作にゆとりがあるというか、よっぽど演出に自信があるのでしょう。こんな凄いシーンが次々と展開されるのですが、それを妙な音楽や演出で盛り上げるでもなく、いつものイーストウッド節でただ淡々と流していくのですから、もう驚くほかありません。 戦闘シーンは凄いです。「プライベート・ライアン」からまた数段と技術が進歩して、臨場感あふれる戦闘シーンを再現しています。特に、機銃から発射された弾丸の軌跡と着弾の模様なんかは凄いね!摺鉢山と海岸との攻防風景なんか素晴らしいです…って、あんまり感心しちゃいけないですけど、見事です。多分アカデミー賞にノミネートされるのではないでしょうか。素晴らしいシーンや印象的なシーンは他にも沢山あって、いちいち上げたらキリがないですけど、日本映画だったらたっぷり時間を掛けて見せるだろう、そんな珠玉のシーンもサラリと数秒で流しちゃうんだから、イーストウッドはやっぱり凄いね。そして、いつも見事な最後のシーンですが、今回は最後の最後に用意してありました。こう来たか、イーストウッド!このショットで終わるのは実に正しいじゃないか。やっぱりあなたは偉かった! 因みに作曲も手掛けているイーストウッドですが、次回作「硫黄島からの手紙」の曲は東洋的な旋律もちょっと入って、これが実に良くて泣けます。本国アメリカで今年中に限定公開されたら、アカデミー作曲賞の候補になるかも知れません。(息子が作曲していました!) 日本では年内に公開されますが、内容も内容ですし、曲を聴いただけで泣けてしまうので、今から観るのが怖いです。 |
「ワールド・トレード・センター」 10/15 (WMSY) ☆☆☆★★★ (うむむ、どういう人に奨めたら良いのでしょうか…?実話だけに評価しにくいです。) |
2001年9月11日のあの事件現場に急行し、崩壊したビルの下で生き埋めになった警察官の実話です。すべて事実と証言に基づいて作られていますから、映画的な演出を挟む余地は非常に少なく、ドラマチックな展開にするために手を加えることもままならなかったと思います。例えば同じ日の同時多発テロを扱った「ユナイテッド93」など、生き証人はいませんから、想像を膨らませる余地があるのですが、逆にこの作品にはそんな余地など許されません。こんな作品に果敢に挑戦したオリバー・ストーンという監督も大したものですが、あの日の傷がまだ癒えていないこの時期に敢えてこの作品を作ろうと英断した製作者も大した勇気です。 しかし、さすがに様々な描写において、被害者や遺族、更には人種問題に関しては、細かい配慮が成されています。例えば、地下1階で断続的に聞こえた大きな音の正体とか、警察車両をつぶした原因とかは、暗に含めて語らず、ビルに衝突する旅客機の映像も見せず、犯人グループに関する情報も伏せています。このあたりに製作者の、この作品を悪戯にセンセーショナルな作品にせず、ただ事実を伝えようという真摯な態度が見て取れます。 実際の現場は、それこそ地獄絵図でしたし、だいたいセンセーショナルな映像は、ニュースで散々流されていますから、今さら傷をほじくり返すのも、関係者にとってはあまりに酷なことに違いありません。 そんなわけで、この作品は事件自体よりも、事件の後、如何に献身的で勇気のある救助活動が行われたかについて焦点が当てられています。確かに、この点はニュースでは伝えられなかった部分でもあり、悲惨な事件を嘆き、憎むよりも、その中にも希望を見出すという点で、これは大変意義ある作品になっていると思います。ただ、主人公たちが助かったからといって、手放しで喜べないのも事実ですが…。 |
「16ブロック」 10/15 (WMSY) ☆☆☆☆★★★★ (人間は変われる!) |
ヒマで酒浸りの老刑事が16ブロック先の裁判所に重要参考人を護送するだけの話です。でも、とんでもない陰謀に巻き込まれて、刑事にとっても参考人にとっても、人生最悪の日になってしまいます。しかし、それは本当に最悪の日だったのか? いや、本当に単純な映画なんです。ブルース・ウィルス主演だし、監督はリチャード・ドナーだし、単純明快なアクション映画かと思っていましたが、確かにそうではあっても、ひと味違う作りになっています。観た印象としては、リチャード・ドナー監督の老練さというか、巧さを感じました。お話としては良くあるパターンです。刑事が犯罪者を護送する途中で思わぬ事件に巻き込まれるとか、寡黙な主人公におしゃべりな黒人のコンビとか、それに警察内のあれやこれやが絡むとか、映画で出尽くした感のある、あんなネタやこんなネタが次々と登場します。 で、こんなもんかネと目の肥えた観客を油断させといて、次々に裏切っていきます。ラストのオチだって決まってるじゃないかと思っていたら、見事にやられました。最後の数秒前までは、なんじゃい、そんなもんかの印象が、最後の最後で見事ひっくり返りました。あんなベタなセリフやこんな荒い演出も、みんなこのためだったのかも?終わりよければすべて良し。見終わって、私もなんだか頑張れそうな気になりました。だから、私はこの映画が好きです。 堂々と言いたいことを主張できる、こんな映画も良いもんです。 |
「ブラック・ダリア」 10/15 (WMSY) ☆☆☆★★★ (ビミョーです。) |
ジェイムズ・エルロイの原作をブライアン・デ・パルマが映画化した作品です。でも、私は原作を読んでいません。観ていて、なんだかLAコンフィデンシャルみたいだなと思ったら、同じ原作者だったんですね。(本当は「LAコンフィデンシャル」+「狼たちの街」みたいな感じです) さて、久々のデ・パルマ作品とあって期待して臨みましたが、さすがに導入部からの盛り上げ方は見事で、お得意の移動カメラによる長廻しや、クレーンを使った俯瞰撮影なんか素晴らしいし、思わず唸る細かい演出もあって、こりゃ久々の傑作かと期待が高まります。でも、それぞれのキャラの印象が薄いせいか、複雑に絡む登場人物の名前もいちいち覚えていられません。おかげで、真相が次々と明らかになっていく段になって、名前を呼ばれても顔が浮かばず、そいつはだれよ?あいつはだれだ?と、頭の中は混乱するばかりです。多分原作ファンや英語が堪能な人には問題ないのでしょうが、私は推理についていくのに大忙しでした。それでも結局、リーの妹のことは分からず終いだった様な気がします。うーむ、DVDでしっかり復習しなければ!私としては、もっと話を整理してくれた方が分かりやすくて有り難いのですが、それではきっと、原作のダークで混沌としたイメージが失われてしまうのでしょうね。 ただ、やっぱり出演者が地味な印象で、なんだか今一つ感情移入できません。例えば主演がブラピとディカプリオだったら(ヘビー級じゃないけど…)もっと面白くなるのにと思ってしまいました。 |
「もし昨日が選べたら」 10/1 (T109GM) ☆☆★★ (気楽に観れば、それなりに楽しめます) |
もう、なんてタイトルなんでしょうね!だって、映画の中では、ちっとも昨日なんて選んでいませんから!原題は「CLICK」で、ここに登場する万能リモコンを押す音を暗示していますが、確かに邦題を付けるのは難しかったかも? ある日突然、すべてをコントロールできる万能リモコンが手に入ったらどうなるかというドタバタ・コメディですが、とにかくこのリモコンが凄い!基本的にTVのリモコンと操作は同じで、TVを再生できるばかりか、すべての物を早送り、早戻し、スロー再生、巻き戻し、一時停止にコマ送り、チャプター跳ばしも思いのまま。もちろん音量調節や色補正、音声切り替えに、2画面表示に、標準・ワイド・パノラマ画面調整までできます。その上、自動操縦や操作記憶なんていう最新機能までついています。 主人公はこのリモコンを使って、自分の人生を自由に操縦しようとするのですが、これがなかなかままならず、何度も修正を試みている内に、思わぬ結果を招いてしまいます。 ハッキリ言って、このドタバタぶりはかなり度が過ぎて、ついて行けませんが、さすがそこはハリウッド、ちゃんと全体を家族愛でまとめあげ、結構そつなく感動的なお話しに仕上げています。 この作品の配給はソニー・ピクチャーズですが、劇中AIBOを車でひいてつぶしてしまうなんて自虐的ギャグまで飛び出したのには、ビックリ!生産中止だといっても、そこまで邪険にしなくても良いじゃないかと、ちょっと可哀相に思ってしまいました。 |
「レディ・イン・ザ・ウォーター」 10/1 (T109GM) ☆☆☆☆★★★ (映画評論家は犬に食われてしんじまえ〜!という シャマランが素敵です) |
これまでM.ナイト・シャマランの作品と言えば、思わせぶりな予告編に何度も欺され、ラストのどんでん返しに拍子抜けしてきたものです。今回の作品も海外の批評では最低だし、興行的にもさっぱりで、また同じ轍を踏まされるのかと内心ビクビクしていましたが、いや、観てビックリですよ!まさに予告編通りの内容だし、つまらないどんでん返しも無しですから。そして、批評が最低な理由も、興行的に芳しくない理由もすぐに分かりました。なにしろこの映画、批評家と映画会社に敢然と挑戦状を叩き付けているのです。偉いぞ、シャマラン!私はこの一作で、すっかりシャマランが好きになりました。ただ、やっぱり観客の反応は賛否両論だろうなあ。(以下ネタバレです) 物語はまさに現代の「おとぎ話」です。フィラデルフィアのコープ・アパートの管理人「クリーブランド(断崖絶壁)」はプールに夜な夜な現れる「ストーリー」という謎の少女と知り合いますが、実は彼女は水の世界から、このアパートのある人物にメッセージを伝えに来たのです。そのメッセージは世界の未来を左右する程大切なものなのですが、それを阻止する邪悪な存在もアパートのそばまでやって来て、彼女の命を執拗に狙っています。彼女の使命を全うさせて、無事に元の世界へ帰すためには、同じアパートに住む隠れた仲間を捜し出さねばなりません。果たしてクリーブランドは、メッセージを受け取るべき人物と仲間を捜し出し、ストーリーの使命を全うさせ、帰すことができるでしょうか? まず、この映画は映画批評家を痛烈に批判して(何しろ、映画の中で唯一悪く描かれた人間ですから…)、批評家たちを敵に回しています。そして、批評家達がよく口にするシナリオ作りのルールに、ことごとく逆らっています。これだけでも批評家の評価が最低になるのは間違いないでしょう。次に、シャマランはディズニーとの契約が切れたのを幸いに、「シックス・センス」以来自らに掛けていた呪縛「ラストのどんでん返し」を綺麗サッパリやめて、新しい映画会社ワーナーでは、自分がやりたかった本来のスタイルを貫きました。当然こけ威し的な大がかりな宣伝にはならず、興行的にもマイナスになったに違いありません。 また、この作品にはシャマラン自身が大変重要な役で出演しています。今までもちょい役で出てはいましたが、これほどメインに出てきたのは初めてでしょう。それは恐らく、監督が伝えるべきメッセージをこの登場人物に託していたからこそ、自ら演じなければならなくなったのでしょう。アパートの住人が人種や文化、宗教、言語において世界の縮図になっていることからも、監督の意図は明らかだと思います。 そして、謎の少女の名前が「ストーリー」であることは、この物語自体が「物語の物語」であることを暗示しています。少女の使命を全うさせるということは、物語を成就させることに他なりません。ですから、住民が疑いもなく少女に協力的であることに疑問を持つことも、実は的外れなのかもしれません。なぜならここに登場する人々は、少女と会う前から、それぞれの役割をあらかじめ持っている、「物語」の一部なのですから。 |
「夜のピクニック」 10/1 (WMCT) ☆☆☆★★★ (白のジャージ姿では、青春の輝きも失せてしまうようです) |
第2回本屋大賞を受賞した恩田陸の原作を「青空のゆくえ」の長澤雅彦監督がメガホンを取った作品です。「青空のゆくえ」は私がその年の邦画ベストに選んだ秀作ですから、同じ監督の最新作と聞けば当然期待してしまいます。わざわざシネコンのハシゴをしたのも、この作品を観るためだったのですから。 物語は、北高という高校で例年行われる「歩行祭」が舞台です。この「歩行祭」、24時間かけて80qを白いジャージ姿の生徒たちが1000人揃って、ただ歩くだけの伝統行事ですが、最初の60qは団体行動でも後の20qは好きな仲間と歩いてよいというところがミソです。つまり、仲間と歩きながら様々なことを話し合い、互いに胸の内を語ることで、友人達との絆を深めたり、新しい絆が生まれることを暗に期待しているわけで、生徒達もこの行事を好きな相手への告白の好機と受け止めています。 さて、映画ではこの歩行祭を舞台に、各生徒達の心の交流を通して、原寸大の青春を淡々と描いています。主人公に秘めた謎があるところや、ゴールまでに決着を付けなければいけないという時間的制約があるところは、「青空のゆくえ」と同様です。もちろん、その謎もそれ程深刻な謎ではありませんし、大事件が起こるわけでもありません。ただ淡々とただヌルヌルと物語は進行するわけで、この変に飾らないところが実は清々しいところなのです。 だが、さすがの監督も、ただ歩くだけの話では観客が飽きるのではないかと危惧したのでしょうか、様々なギャグやメルヘンチックな幻想シーンなどを織り込んで、作品に色々な味付けを試みてしまいました。おかげで、悪ふざけのギャグは外しまくるし、奇をてらった幻想シーンは浮きまくってしまいました。この点、もっと歩くことに集中して真摯な態度を貫いて撮れば良かったのにとも思います。いや、むしろ「ピクニックの準備」に描かれているエピソードを含め、群像劇としてまとめあげることはできなかったのでしょうか? ただ、主演の多部未華子は相変わらず素晴らしく、未来の大女優の片鱗を充分見せてくれました。この子の表情をもっと追っていれば、余計なセリフはいらないのにと、ついつい思ってしまいます。ついでに言えば、「どろろ」は絶対彼女が演じるべきですよ! |
「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」 9/9 (T109GM) ☆☆☆☆☆★★★ (最低「1」「2」は観ておきましょう。そして、映画はスタッフ・ロールが終わるまで、ちゃんと観るべきです。最後まで観ないと、料金の半分は損しますよ!) |
どうでもいいけど、このタイトルどうかと思うんですね。だって原題は「X-MEN:THE
LAST STAND」ですよ。「ファイナル・ディシジョン」より「ラスト・スタンド」の方が日本人には呼びやすいと思うのですが、宣伝部はどうしても映画をヒットさせたくないんでしょうかね?タイトルの意味としてはこれでも悪くはないのですが、映画の最後まで観れば絶対に「ラスト・スタンド」の方が良いですよ。携帯電話をかけながら観る試写会を企画したり、この宣伝部は一体何を考えているんでしょうかね? まあ、そんな宣伝の拙さは置いといて、作品の出来は大変良いですよ。いやホント、久々に映画の構成力について考えさせられました。最近の日本アニメを観て、一番欠けていると感じた重要な要素のひとつです。…なんて、ちょっと言い過ぎかも知れませんけど。 「X-MEN」シリーズ第一作を観たのは、サンディエゴのシネコンでした。丁度コミコンが開かれていた時期に初日を迎えたとあって、映画館の前はコミック・ファンの長蛇の列が出来ていました。しかもこの行列、次の次の回だっていうんだから驚きです。ホントにアメリカ人は、行列するのを楽しんでいるみたいです。まあ、その時のファンの反応ですが、やっぱり黒のコスチュームが不評でしたね。また、原作を大きく変えているところが問題になりましたが、まあマーベルが製作しているし、原作者スタン・リーもOKだって言うんだから、文句は付けられません。それより、映画として上手くまとまっていることを評価する意見も多かったように思います。 それはさておき、このシリーズが始まった当初から、これを三部作でまとめる企画だったかは分かりません。でも、今回の「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」を観ると、三部作として実に上手くまとまっていることに驚かされます。「1」のあのシーンがちゃんと伏線になっているとか、「1」や「2」の様々なシーンが「3」で上手く活かされているのが分かって、思わずニヤリとさせられます。それでいて、単独の作品としても、きちんと構成がなされているところが見事ですね。 その上、今回が最後(?)とあって、「X-MEN」の人気キャラが大挙して登場するという大盤振る舞いまでするんですから、呆れます。 もっとも、登場人物が増えた分、個々のキャラクターを掘り下げる余裕はありませんので、物語の本筋に絡まない人物は次々と排除されてゆき、この辺がちょっと寂しいです。特にサイクロップスなんか、「X-MEN」の中心人物なのに、とっても可哀想な扱いを受けていますし、わたしが密かに最強と思っていたローグなんか、「一体おまえはどこをほっつき歩いていたんだ?」と言いたくなるくらいに影が薄いです。 また「X-MEN」シリーズでは、実に細かいところに伏線やファンサービスが仕掛けられていて、これがファンには堪らないようですが、一般の観客には殆ど分かりません。例えば「2」に出てきたナイトクロウラーなんか、本当はミスティークの息子ですからね。このふたりがニアミスして、ファンは感涙にむせったことでしょう。今回の「3」でも、初期の「X-MEN」メンバーが全員登場するという大サービスばかりか、プロフェッサーの元婚約者モイラ・マクダガートまで、もの凄く重要なシーンで登場しています。 そんなわけで「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」は、「X-MEN」の事を知れば知る程面白い作品ですが、そんなことを知らない一般客でも「1」と「2」をちゃんと観ていれば、充分楽しめるようには作られています。逆に言うと、「1」と「2」を観ていなければ、何のことだかサッパリ分からないでしょう。まあ、これがシリーズ物の宿命ですから、仕方ありませんが…。 それはともかく、この映画に登場するVFXはとてつもなく凄いです。もう、今はこんな事も出来ちゃうんですね。凄いなあ!これなら「幻魔大戦」なんか軽い軽い。楽勝で出来ちゃいますよ。だって、もっと凄いことやっているんですからね。これにはホント、開いた口が塞がりませんよ。こんな作品こそ、DVDでなく是非とも大画面大音響で観てもらいたいものです。 さて、「X-MEN」の一作目が公開されてから早6年、この映画に出演していた役者も、それぞれアカデミー賞獲ったり、主役を張ったりで、有名になりました。こうして改めて全員揃ったところを見ると壮観です。ギャラも鰻登りで大変でしょう。そんなわけで、どうしたって今回でシリーズをお終いにしないわけにはいかなくなったであろうと、容易に推察されます。もちろん今回は多少ギャラを抑えてもらって、その代わりスピンオフのシリーズを立ち上げるという駆け引きも行われたのではないかと思います。 今回の作品を観て思うのは、やはり6年という歳月の重みでしょうか。みんなあの頃は初々しかったよな、なんて昔を懐かく思いますし、今回も画面一杯に頑張りまくる老人コンビの健在ぶりがこれまた微笑ましくて、とても嬉しく思いました。 |
「グエムル-漢江の怪物-」 9/2 (T109GM) ☆☆☆☆★★ (人に奨めるには、やっぱり微妙だなあ〜) |
ソウル市内を南北に分けて流れる漢江という幅の広い河があります。この河に注ぐ下水構に駐韓米軍が大量のホルムアルデヒドを流したという事件が実際にありましたが、この映画はそれをヒントに作られています。それが原因なのかは分かりませんが、とにかく突然巨大な怪物が真っ昼間に漢江の岸辺に現れ、そこにいた人々をパクパクと食べ始めます。そしてその最中、岸辺で飲食店を営んでいたパク・カンドゥの娘も怪物に掠われてしまいます。悲しみに暮れるパク一家ですが、とあることで娘の生存を確信した家族は、一致団結して娘の救出に向かい、この怪物と戦うことになります。 これは紛れもない怪物映画ですが、単なる怪物退治というよりも、主眼は怪物に家族を引き裂かれたパク一家の悲哀というかドタバタ奮闘ぶりにあります。ですから、ハリウッド風のB級モンスター映画のノリを期待すると、思う存分肩すかしをくらってしまいます。この辺が「殺人の追憶」のポン・ジュノ監督らしさというか、面目躍如ということでしょう。特にラストは好みによって賛否が大きく分かれるところだと思います。私はこういうのもなかなか好きですけどね。(以下ネタバレにつき自主規制:文字を反転させると読めます) それにしても、この映画には奇妙な点がたくさんあります。娘が何故生きていたかという点は、動物の習性の例からみても有り得ないことではありません。それより不思議なのは、警察も軍隊も保健機構も科学者も、何故この怪物を捕獲しようとしないのかがさっぱり分かりません。なにしろこの怪物は謎のウィルスの宿主(HOST)とされているのですから、当然これを確保して、そこからワクチンを作るというのが本筋というものです。「アウトブレイク」だって、あれだけ宿主の猿を探すのに躍起になっていたのにね…。 そうでなくとも、パク一家以外の人々の行動が全く理解できません。怪物に殺された他の遺族が怪物に懸賞を掛けることもなく、それ目当てのハンターが集まることもなく、怪物に興味を持つ科学者が現れるでもなく、怪物を商品化しようと企む企業もなく、怪物退治に燃える熱血刑事も登場せず、政府も全くの無策というのですから…もう、みんな何を考えているのやらさっぱり分かりません。 まあ、それはともかく、この映画のVFXはさすがに素晴らしいです。ジ・オーファネージ、ケヴィン・ラファティ、WETAワークショップ、ジョン・コックス・クリーチャー・ワークショップといった、世界一流のスタッフが作り出した怪物は、とにかく見事の一言です。モンスターのサイズが10メートルというのも妙にリアルで、功を奏しています。特に真っ昼間に人々を襲うシーンなんかは、悪夢のようなインパクトがあって、怪獣映画史に残るほどの名シーンです。もしかしたら、アカデミー賞にノミネートされるかも知れませんね。 とはいえ、ただのB級に徹していないところが、逆にカタルシスを無くしていることも事実で、それが日本の観客動員にどう響くかが気がかりです(韓国では大ヒットだそうですが、これも文化の違いでしょうか?現在の韓国が丁度日本における安保闘争の時期にあると考えれば、駐韓米軍を悪役視して、頼れるのが自らの力しかないという考え方が受ける理由もよく分かるような気がします)。正直なところ、手放しで人に奨められるワケでもなく、興行的にはかなり厳しい気がします。これが当たらないと、モンスター映画の灯が消えてしまいそうで、それが心配でなりません。…と言う意味では当たって欲しいけど。 |
「ブレイブストーリー」 8/1 (WMCSY) ☆☆☆★★★ (詰め込み過ぎと言うべきか、消化不良と言うべきか、TVシリーズのダイジェスト版みたいな作品です) |
ある人から宮部みゆきはポポロのファンだと言われたことがあります。事の真偽は分かりませんが、この作品を観て、宝玉を集めて剣を強くするとか、頭の上に乗っているモノとか、ネコのガールフレンドがいるとか、願いをひとつだけ叶えるとか、終わり方とか…、似て無くもないなと思いました。 まあ、それはさておき、「ブレイブストーリー」はなかなか良くできた作品です。冒頭の現実世界のシーンと最後のシーンの絡み、現実世界から幻界(ヴィジョン)への持って行き方など、さすがに上手いと思いました。(でも、何故ミツルは外に出られたのだろうか?何故扉のことを知っていたのだろうか?)内容にしても、見せ場は沢山あるし、おかしなキャラクターや種族や怪物たちも沢山出てくるし、さまざまな街や都市も出てくるし、もうてんこ盛りです。 ただ、色々な要素を詰め込みすぎて、それぞれのキャラクターやエピソードがほとんど活かされていません。そのため、すべての印象が希薄になり、結局全体の印象まで希薄にしています。これは実にもったいない。だいたい、各キャラクターのお話にしても、観客に放り投げたまま、何も回収していません。まるで、キャラ紹介のままで終わっているのです。このあたり、どうも商業主義が見え見えという感じがして、好きになれません。(恐らく、TVシリーズも考えているのでしょうね) 絵についても、GONZOお得意のCG映像が人物の動画と違和感がありすぎて馴染めません。実写取り込みの背景やモーション・キャプチャーの動きも、どうも好きになれません。この辺り、手作り感に拘るジブリとは製作姿勢の違いを強く感じます。 そして、最も違和感があったのが声優陣です。特にワタル役の松たか子はいかがなものでしょう。どう頑張っても、少年の声には聞こえないのです。そのため、ワタルが喋るたびに松たか子の顔が浮かび、結局最後まで主人公に感情移入出来ませんでした。有名人に声を吹き込ませて、話題作りしたいという気持ちも分からなくありませんが、もういい加減にこういう悪習はやめにしてもらいたいものです。どうしても松たか子に声優をさせたいのなら、いっそのこと主人公を少女にした方が何倍も面白くなったのではないかと思いますよ。 結局のところ、プロが集まって万人に受けるように作られているのですが、それぞれの思惑がてんでんバラバラの方向を向いているので、どうも作品全体にまとまりのない印象を受けました。でも、それなりのレベルには達していますから、一般客にはちゃんと楽しめます。悲しいことですが、少なくとも「ゲド戦記」よりは面白いでしょうね。 でも、やっぱり…ファンタジーを粗末に扱っている気がしてならないんですよ、これが。 |
「ゲド戦記」 8/1 (WMCSY) ☆☆★ (作品としてはダメでも、「ハウル」よりは好感が持てました) |
前回のジブリ作品「ハウルの動く城」を酷評した私ですが、今回は内心少し期待していました。どんな事情かは分かりませんが、監督が息子の吾朗氏に変わりましたので、いくらなんでも同じ過ちはしまいと思ったわけです。たしかにある意味「ハウル…」よりは良かったです。 これまでも原作を改変する事はよくありましたが、時間の限られた映画という性格上、ある程度の改変は致し方ないことです。少なくともひとつの作品として話がまとまっていて、原作者が伝えたい主題なりメッセージがちゃんと込められていて、より面白くなっていれば、それなりに許されると思います。前回の「ハウル…」はたしかに映像としての面白さはありましたが、前二つの条件に関しては完全に欠落していました。《原作を大切にしないヤツは嫌いだ!》 恐らく制作スタッフの中にもそのことに対する不満があったのではないでしょうか?今回の「ゲド戦記」には前二つの条件を満たそうという努力の跡が見られます。でも、残念ながらそれを表現する能力が圧倒的に足りませんでした。伝えるべきメッセージの伝え方を知らず、すべてセリフに頼り、それでいて観客に必要な情報も与えられないという、ごく初歩的なミスを犯しています。その上、これまでのジブリ作品に見られたような、目を見張る動画シーンもありません。おかげで極めて冗漫な作品になり、観客は二時間睡魔と戦うハメになってしまいました。《観客を大切にしないヤツは嫌いだ!》 また、全体的に実にこぢんまりした、非常に地味な作品という印象を受けます。世界的な広がりが表現されていないので、世界の均衡が崩れると言っても、どうもピンと来ません。だいたい城の兵士が十人程度しかいないというのも寂しすぎます。これではさすがに敵の強さも表現できません。ウソでも兵士は百倍欲しいところでしょう。《見せ場を大切にしないヤツは嫌いだ!》 ただ、手嶌葵の歌だけは素晴らしい。もう、この歌がすべてと言っても過言ではありません。手嶌葵はテルーの声を担当していますが、声優としては素人なので、どうしても棒読みになってしまいます。でも、この素人臭さがかえって朴訥な感じを出し、非常に良いです。今回のクロード・ロラン風の背景画も、監督の吾朗氏も朴訥。まさに「ゲド戦記」は、これまでのジブリ作品にあったケレンさ派手さを捨てた、実に朴訥な作品でありました。《歌を大切にするヤツは大好きだ!》 |
「パイレーツ・オブ・カリビアン〜デッドマンズ・チェスト」 7/15 (WMCSY) ☆☆☆☆☆★★★? (もはや、海賊版スター・ウォーズ!でも散漫な印象で、後に何も残りません) |
ディズニーランドのアトラクションを映画化した前作「パイレーツ・オブ・カリビアン〜呪われた海賊たち」の続編です。しかし、ただの続編と侮ってはいけません。前作が大当たりしたので急遽シリーズ化を決定したのでしょうが、とてもそんな風には思えない程、シリーズの中編としてハマリ込んでいます。 シナリオ的には、説明不足があったり、伏線を回収しきれなかったり、色々と問題がありますが、まあそれはおいといて…前作で登場した、あんなことやこんなことがすべて今作に絡み、そして次回作にちゃんと繋がっていく構成は実に見事です。全体で三部構成だ |